相続財産を分割する3つの方法とは? 福井のファイナンシャルプランナーが解説

何のために相続対策をするのか

相続税は、基礎控除が小さく変更されてから、課税される人が倍になりました。相続税を払う人は約4%⇒約8%になっています。

人は必ず亡くなります。相続問題は必ず発生します。早いか遅いかの違いだけです。相続が発生するタイミングは誰にも分りませんが、思い立ったときに準備することをお勧めします。対策の目的はスムーズな相続手続きと、残された家族で揉めないようにするためです。

今回は、そんな相続において、相続財産の分割方法について解説していこうと思います。

まずは、相続対策には何があるのか概要を説明します

分割の対策

財産には、大きく分けて「不動産」「動産」があります。不動産は想像の通り土地建物です。動産は不動産以外となります。現金、有価証券、自動車などです。残された家族で揉めないように、また、長男にはこの財産を渡したいというような希望を含めて考えなくてはなりません。後半に詳しく解説しますが、相続対策は、財産の分割対策といっても過言ではありません。

納税の対策

相続財産が大きいと、相続税の支払いが心配になります。最近では不動産などを相続税の支払いに充てる「物納」はあまり認められない状況にあります。物納するなら売却してください、ということです。そういう意味では、納税する現金が必要になります。しっかり現金を準備するか、生命保険を活用して保険金で現金を用意するか、不動産を順次売却していくかなど、納税対策は納税資金準備対策です。

節税の対策

節税とは相続税額を低くすることです。節税対策で有名なところでは、●生前贈与で相続財産を減らす ●生命保険の非課税枠の活用 ●養子縁組で法定相続人を増やす など他にもいろいろあります。ただし、やりすぎは禁物で税務署から否認されるケースもあります。タワマン節税もありますが、節税だけが目的とみなされると否認されるケースがあるようです。

誰にも当てはまるのは「分割対策」

納税対策や節税対策は、相続税が必要になる人です。相続税が必要なケースも含めて、すべてのご家族で必要なのは「分割対策」です。相続財産を分割する方法はどのようなものがあるのでしょうか。そして、皆さまのご家族に向いているのはどれでしょうか。

分割対策を3つ紹介しますので、確認していきましょう。

現物分割

不動産、現預金、有価証券、自動車、船舶など、さまざまな相続財産がある場合、それぞれに受け取る相続人を決めるものです。

例えば、自宅不動産は配偶者、現預金は長男、有価証券は次男、というようにそれぞれ行き先を決めます。メリットはわかりやすいこと、デメリットは不公平感があることです。預金は1000万円あるのに、投資信託は300万円ほどである、などが考えられます。他にも、そっちの財産がいいのに~などの不平不満もあるかもしれません。

そのまま渡せるので、不公平感を解消できれば、この分割方法は採用しやすいです。

換価分割

不動産などの遺産を売却し現金化、それからみんなで分割しましょう、という方法です。分割しやすく現金化するので、一見良さそうに見えます。デメリットは、希望額で売却できない可能性、譲渡所得税の対象になる、売却において手数料や手間がかかるなどが挙げられます。

親族で、どこまで許容できるか、誰が代表者となるかを相談できると、この方法も採用できます。

代償分割

相続財産を特定の人がまとめて相続し、ほかの相続人に対して代償金を支払う分割方法です。

例えば、自宅不動産5000万円、預金500万円、有価証券500万円、合計6000万円の相続財産を、子ども3人で分割するケースがあったとします。長男がすべて相続し、弟2人に2000万円の代償金を支払うということです。

メリットは、わかりやすく分割できること。デメリットは、長男が代償金を現金で準備する必要があること。この場合は長男が自前で現金を準備するか、その分を長男を受取人にする生命保険で準備するなどが考えられます。

あまりお勧めしない4つ目の分割方法

3つ紹介するといいながら、じつは4つ目があります。「共有分割」です。

文字通り、財産を共有します。例えば、自宅不動産を妻2分の1、長男2分の1を相続するというように、共有して相続することです。

なぜ、お勧めしないかというと、その後の手続きが複雑になる可能性が高いからです。

数年後に共有分割で相続した自宅を売却しようとしたとき、共有者全員の同意が必要です。共有者が2人なら同意が取りやすいかもしれませんが、人数が多いと大変です。疎遠になっている場合はなおさらです。

また、共有者が死亡した場合は、新たな相続人が増えます。当時のいきさつなどうまく伝わっていないと揉める原因になるかもしれません。

ちなみに、100坪の土地を2人で2分の1ずつ共有分割で相続した場合は、ひとりが50坪を相続することとは意味が違いますので、注意が必要です。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。遺産の分割方法にも種類があります。

遺産分割問題は、遺産の多寡によらず、どなたも関わる問題です。相続財産の大部分が不動産だと分割しにくいので、揉め事に発展することも想像できます。実際に裁判まで発展するケースもあるので、そうならないように事前に相続財産の分割について考えて、家族会議で全員に話をしておいた方が良いです。

亡くなる親が70代、80代で、子ども世代は40代、50代だとしたら、ちょうど孫世代が大学進学など家計が大きく変化するタイミングかもしれません。その時の家族の上京によっては少しでも多く遺産を受け取りたいと考えるのも理解できます。そうすると全員が納得できる分割も難しくなるかもしれません。

遺言書も大事なポイントになります。揉めないようにするためですが、どのように分割するかを書いておかないと揉める原因になりかねません。

ライフスタイルプラスでは、相続に強い弁護士、税理士の先生と連携が取れていますので、ご紹介できます。

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