投資信託を選ぼうとすると、手数料の話がやたらと出てきます。
信託報酬、売買コスト、為替、バランス型のリバランス、ラップ口座
「結局、何を見ればいいの?」となりやすいのも当然です。
はじめに、芯になる考え方をひとつお伝えします。
コストは確定、利回りは不確定。
未来の利回りは誰にも読めませんが、手数料は、今この瞬間に条件として確定します。
だからこそ、ややこしい手数料を確認する必要がありますし、ややこしいとしても順番さえ決めれば迷子になりません。
いきなりコスト比較をしないほうが迷子になりにくい
「コストが大事なら、最初に一番安い投信を選べばいいのでは?」
そう思う気持ちも分かります。けれど、初心者がつまずきやすいのはここです。
コストだけ先に見ると、安いけど目的とズレた投資信託を選んでしまうかもしれません。
たとえば、値動きの大きい商品を「コストが安いから」と選んでしまい、下がったときに怖くなってやめてしまう。これがよくあるパターンです。
だからおすすめは、コストを「入口」ではなく、候補を絞った後の最終フィルターとして確認すること。
「どちらにしようかな?」まで絞れた段階でコストを見ると、迷いが減り、判断がブレにくくなります。
投資信託を選ぶ順番(4ステップ)
ステップ1:目的と期間を決める
まずは「何のために」「いつ使う可能性がある資金なのか」。
老後資金なのか、教育資金なのか、5年以内に使うお金なのか。
期間が長いほど、多少の上下があっても「待てる」ので、取れるリスクの幅が広がります。
ステップ2:投資対象を決める
次に、どこに投資するか。
全世界、米国中心、国内中心、あるいは株と債券を混ぜるバランス型。
ここが「どの投資信託にしようかな?」の大きな分かれ道です。
ステップ3:運用タイプを決める
インデックス型投資信託(指数に連動)か、アクティブ型投資信託(運用会社が上回りを狙う)か。
初心者ほど、まずは、仕組みが分かりやすいインデックスファンドから入るとブレにくい、という考え方は根強いです。
運用利回りも気になりますよね。利回りを見ながら候補を出していきましょう。ただし、運用利回りは過去の成績です。それだけで決定!とはいきませんので、しっかり見ていきましょう。
ステップ4:同じ土俵で比較する(ここでコスト)
ここまで来たら、いよいよコストの出番。
投資対象も運用タイプも似ている候補同士で比べるから、コストが効きます。
そして、この段階で先ほどの結論が生きてきます。
コストは確定、利回りは不確定。
読めない未来に賭けるのもいいのですが、確定しているコストを減らすほうが合理的です。
ここからが本題:コストの見方は「3つ+α」だけでいい
手数料の話は、あれもこれも見始めると沼に入ります。
初心者はまず、次の「3つ+α」で十分です。
①購入時手数料(販売手数料):基本はノーロード
購入時にかかる手数料がある投資信託もあります。
長期の積立を前提にするなら、まずは、購入時手数料がかからない「ノーロード」を基本とすると分かりやすいです。
②信託報酬:長期ほど効いてくる確定コスト
信託報酬は、投資信託を保有している期間にかかる管理費のような手数料です。
年率で表示され、長く持つほどじわっと効きます。
同じ投資対象・同じ指数を目指す投資信託なら、信託報酬が低い方が有利になりやすい。ここは「確定コスト」として最重要です。
③信託財産留保額:ある場合だけ注意
解約時に差し引かれる費用を「信託財産留保額」と言います。手数料って購入時だけじゃないのか?と思いますが、この手数料が設定されている投資信託があります。
すべての投資信託にあるわけではありませんが、もし設定があるなら把握しておくと安心です。
+α:実質コスト(運用の中の売買コストなど)は沼に入らない範囲で
「信託報酬以外にも、運用の中で発生する費用がある」と聞くと不安になりますが、細かい数字を追いすぎなくて大丈夫です。
ポイントは、信託報酬だけで比較が終わらないことがある、と知っておくことです。
たとえばバランス型投資信託は、投資信託内で資産配分を調整(リバランス)するための売買が起こり得ます。売買がある以上、コストがゼロとは限りません。
また、米国株ファンドなど海外資産は、コストとは別に為替で評価額が動きます。ここは「手数料」というより値動き要因なので、コストと混同しないことが大切です。
補足①:米国株ファンド・米国ETFは、為替コストの見え方が違う
米国株に投資する商品には、大きく「米国株ファンド(投資信託)」と「米国ETF」があります。どちらも最終的には米国の資産に投資しているのですが、円→ドルの扱いと、そこに伴うコストの“見え方”が少し違います。
まず、米国株ファンド(投資信託)は、多くの場合、私たちは円で申込み・円で保有します。購入時に自分でドルに両替して買う、という感覚にはなりにくいはずです。実際の外貨への交換はファンド側が運用の過程で行い、その際に発生し得るコスト(為替取引のスプレッド等)は、私たちに「為替手数料◯円」と明細で見える形ではなく、ファンドの中でじわっと織り込まれやすいのが特徴です。
一方で、米国資産はコストとは別に、円高・円安で評価額が動きます。ここは「手数料」ではなく、値動き要因(リスク)として理解しておくと混乱しません。
次に、米国ETFは、米国の個別株と同じく「株式を売買する」商品です。そのため投資信託よりも、売買や為替が投資家側に近い形で現れます。具体的には、ETFを買うときに
- 売買手数料(取引コスト)
- 円→ドルの交換(為替スプレッド等)
が関係してきます(円貨決済でも内部的に外貨転が発生するイメージです)。つまり、ETFは「為替コストが発生し得る」こと自体は投資信託と同じでも、投資信託は中で溶けやすい、ETFは見えやすい/意識しやすいという違いがあります。
今回は投資信託の選び方に絞っているので、ETFのコスト構造(売買手数料・為替スプレッド・経費率など)は別の機会に整理します。ここでは、「同じ米国投資でも、投信とETFではコストの見え方が違う」という点だけ押さえておくと、選ぶときに迷いにくくなります。
補足②:ラップ口座は投資信託と別物として分けて考える
ここは短く触れておきます。
ラップ口座は、投資信託そのものを購入するというより、運用をおまかせするサービスです。
投資信託の信託報酬に加えて、口座管理料などが上乗せされる形が多いので、同じ投資信託を買う場合でもトータルコストが増えることがあります。
使う・使わないは別として、「投信の比較」と「ラップの料金体系」は別物として分けて確認すると安心です。
「運用利回り(成績)だけ見ればいい?」への回答
「結局、運用利回り(成績)が出ているなら、それだけ見ればいいんじゃない?」
その気持ち、すごく分かります。運用利回りは信託報酬を計算に入れた数字で、差し引かなくていいですからね。購入時手数料は別ですが。
ただし位置づけをはっきりさせるなら、成績(利回り)は候補出しに使うのが安全です。
まず目的と期間を決めて、「このタイプ(全世界/米国/バランス型など)で探そう」と方向性を固める。
その上で、成績は候補を拾うためのヒントにする。お話したSTEP「の通り。
そして最後は、コストは確定、利回りは不確定だから、同じ土俵に並んだ候補を確定情報(コスト)で比較していく。
こうすると、過去の成績に振り回されずに選びやすくなります。
- 成績(運用利回り)は候補出しのヒント
- コストは確定情報としての「比較」
まとめ
投資信託の手数料は種類が多く見えますが、結局は順番です。
おすすめはこの流れ。
- 目的と期間
- 投資対象(全世界/米国/バランス型など)
- 運用タイプ(インデックス/アクティブ)
運用利回りで候補出し - ここでコスト(ノーロード→信託報酬→留保額→実質コストを沼に入らない範囲で確認)
そして、忘れたくない結論はこれです。
コストは確定、利回りは不確定。
読めない未来に振り回されるより、確定している条件を整える。
これが、初心者が迷子にならずに投資を続けるための現実的なコツです。
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Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております