エンディングノートは書いても意味が無い!?福井のFPが解説します

エンディングノートの認知度は上がっていると思いますが、実際に書いている人はどの程度いるのでしょうか?

数年前でしたか、温泉などに泊りで行くエンディングノート合宿なるものの存在を聞いたことがあります。

最近はそこまでのブーム感はありませんが、エンディングノートの書き方セミナーが開催されるのも見かけます。

そんなエンディングノートですが、書いても意味がないという話もよく聞きます。

どういうことでしょうか、考えてみましょう。

エンディングノートとは?

まずは、エンディングノートとはなにか確認しておきましょう。

ひと言でいうなら、「エンディングノートとは、自分が亡くなった後に家族や身近な人が必要とする情報をまとめたノート」です。

内容は多岐に渡ります。例えば・・・

  • 自分の資産、相続人などの情報
  • 自分が受けたい医療や介護の希望
  • 自分が望む葬儀について
  • 自分の人生や家族に対する思いなどの記録

他には、自分が亡くなったときに連絡してほしい人の情報などもあります。

日本だけ?アメリカにもある?

参考までに、アメリカはどうなっているのか調べてみました、ネットで。

エンディングノートのようにひとまとめではなく、目的別にいくつかに分かれて存在するようです。

アドバンスディレクティブ・・・直訳で「事前指示」自分が重篤な病気になった場合に、希望する治療法や医療方針、自分が死亡した場合に希望する最期の配慮について指示する書類や記録のことで、広範囲になります。

リビングウィル・・・自分が医療行為を受ける場合に、どのような医療処置を希望するかを明確にする書類です。具体的には、人工呼吸器や人工栄養、心肺蘇生法など、自分自身がどのような医療処置を望むか、または拒否するかを記載します。アドバンスディレクティブに含まれるイメージです。

リビングトラスト・・・信託財産の管理者を指定し、信託財産をどのように扱うか、相続人に配分する財産をどのように決定するかなど、詳細な内容が記載されています。リビングトラストは、自分自身が生きている間は自分で管理し、自分が亡くなった後は信託契約書に基づいて承継されるようにすることができます。

心配することは同じということでしょう。アメリカにも似たようなものがあります。

エンディングノートを書いても遺言書があるなら意味がない

エンディングノートには法的根拠がありません。相続について、自分の資産、相続人を記載しますが、メモ書き程度のレベルです。

つまり、エンディングノートを書いたところで遺言書の代わりにはなりません。別物ということです。

エンディングノートだけでは不足ですから、遺言書を作成することになりますが、注意が必要なのは「同じ内容を記載する」ことです。

相続については、どの遺産を誰に渡すのか、お金が絡む部分なので、気を配って記入することが大事です。

エンディングノートと遺言書で内容が違うトラブル

エンディングノートには、遺言書と矛盾する内容が書かれている場合があります。

遺言書が法的な効力を持つため、エンディングノートの内容が遺言書と矛盾する場合、法的トラブルの原因になる可能性があります。

エンディングノートに記載した情報に不備があったり不正確だった場合、家族や関係者に迷惑をかけることになります。そのため、エンディングノートに書いた情報が変更された場合には、定期的な見直しや更新が必要になります。

トラブルを防ぐためにエンディングノートや遺言書を作成するはずですから、それがトラブルの元凶にならないようにしましょう。

エンディングノートが家族にスルーされる

エンディングノートが家族にスルーされるのは、どのようなことでしょうか

家族がエンディングノートの存在を知らない

エンディングノートを書いても、家族がその存在を知らないと意味がありません。

エンディングノートの保管場所を知らせる、場合によってはコピーを渡すなどして、家族にエンディングノートの存在を伝えておく必要があります。

エンディングノートの内容が不適切だと思われる

エンディングノートには個人的な情報が含まれることが多く、家族にとっては不適切な内容が含まれていると判断されることがあります。

この場合は、エンディングノートの内容を家族と共有し、不適切な内容を修正することで解決することができます。

家族がエンディングノートを理解できない

エンディングノートには法律用語や金融用語など、専門的な言葉が使われることがあります。

家族がこれらの言葉を理解できない場合、エンディングノートをスルーしてしまう可能性があります。エンディングノートを書く際には、分かりやすく簡潔な表現を心がけることが大切です。

エンディングノートのデメリット

どのようなデメリットがあるでしょうか。確認してみましょう。

機密情報の漏洩の危険性

エンディングノートには、自分や家族の個人情報、財産情報、秘密情報などが含まれることがあります。

そのため、エンディングノートを紛失したり、第三者に盗まれたりすると、情報漏洩のリスクがあります。

家族間の紛争の原因になる可能性がある

エンディングノートには、自分が死後に望むことや、財産分与に関する希望が含まれることがあります。

しかし、家族の中で、エンディングノートに書かれた希望や要望についての意見が分かれることがあります。例えば、相続財産の配分に関する記述が曖昧だったり、公平でないと感じたりする場合、家族間の軋轢が生じることがあります。

そのため、エンディングノートが家族間の紛争の原因になることがあるというデメリットがあります。

個人差や価値観の違いが反映されない可能性がある

エンディングノートには、自分が死後に残したい情報や希望が含まれますが、その内容は個人差や価値観によって異なる場合があります。そのため、エンディングノートに書かれた内容が、家族や関係者にとって納得できない場合があるというデメリットがあります。

エンディングノートが書きにくい

そもそも、エンディングノートが書きにくいと感じる人もいます。じつは、私もその一人だったりします。

ただ、すべてが書きにくいわけではありません。資産状況などの事実は書くことができます。

情緒的な項目が書きにくいです。また、気持ちや思いを書くことの、家族に対する配慮も必要になることも負担に感じます。

皆さまはいかがでしょうか

自分の未来について想像するのが苦手、死や老いについて考えることが苦手、という人もいると思います。このような人は書きにくいでしょう。

エンディングノートのメリットはあるのか

私は苦手な部類だと思いますが、メリットはあると考えています。

苦手を超えるメリットはこちらです。

残される家族に負担をかけない

エンディングノートには、自分の最期の希望や意思を明確にすることができます。

具体的な指示を記入することで、家族や関係者に対する不安を和らげることができます。

家族や関係者に最期の手続きなどで迷い悩まないよう記入しておくことで、負担をかけることが少なくなります。

遺族間のトラブルを防ぐ

自分が希望する葬儀や相続財産の配分などが明確に記載されるため、遺族間でのトラブルを防ぐことができます。

また、エンディングノートには、家族や関係者に対するメッセージや思い出を残すことができるため、遺族間の絆を深めることもできます。

自分自身の生き方を振り返る機会になる

エンディングノートを書くことで、自分自身の生き方や人生観を振り返る機会になります。

自分自身の人生について考えることで、より充実した人生を送るためのヒントやアイデアを得ることができます。

以上のように、エンディングノートを書くことには多くのメリットがあります。他にもありそうですね。エンディングノートは自分自身や家族、関係者のために書くものであり、専門家のアドバイスや相談を受けながら適切に作成することで、より充実した人生を送ることができます。

まとめ

エンディングノートについて、メリット、デメリット、書けない理由などを紹介しました。そして、意味がない状況についても解説しました。

どちらかというと、私も苦手な部類に入りますが、それはエンディングノートの全ページを埋めようとするからだと思います。

自分の書ける範囲で、必要だと思うことを記入するだけと考えると、書きやすくなるかもしれません。

デジタル遺産についても注意が必要です。ID・PWを分かるようにすること、指紋認証、顔認証になっているパソコン、スマホ、アプリなども対応できるようにしておきましょう。

エンディングノートは役に立つことはありますので、デメリット、書けない理由を超えるメリットを感じる人は、早めに作成しておきましょう。

その際は、ファイナンシャルプランナーや税理士などに相談すると良いと思います。

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