成長投資枠は埋めるべき?新NISA3年目の「迷い」を整える投資設計

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「銀行に預けていても、お金は増えないどころか価値が減っていく」
「金利のある場所に資産を置いておかないと損だ」

そんな危機感や、あるいは周囲の「新NISA、やってる?」という声に背中を押され、2024年の新NISAスタートとともに投資の世界へ一歩を踏み出した方は多いはずです。

とりあえず、ネットやSNSで評判の良かった「全世界株式インデックス」や「S&P500」といった投資信託を、月々決まった額で積み立て始める。
あれから2年。新NISA3年目の2026年の今、画面に表示されているプラスの数字を見て、ほっと胸をなでおろしている方もいるでしょう。

まずは、その「始めてみた」という行動力を全力で肯定してください。
FP(ファイナンシャルプランナー)の視点から見ても、その一歩は100点満点のロケットスタートです。積み立て額の多寡ではなく、始めたことが重要なんです。

あなたはすでに、日本人の多くが抱える「インフレという静かなリスク」から一歩抜け出しています。

でも、土台が整い、少し投資に慣れてきた今だからこそ、陥りやすい「罠」があります。

今日のまとめを先に

成長投資枠で迷うのは普通です。
ただし「次の正解探し」から入ると、運用の軸がブレやすくなります。

成長投資枠は、当てにいく枠ではなく、あなたの人生に合わせて設計する枠となります。
銘柄の前に決めるのは、たった3つです。

  • 目的(守り?攻め?キャッシュフロー?応援?)
  • 期限(いつ使うお金?)
  • 心拍数(どれくらい下がると眠れない?)

「正解」を求める心が、運用の軸を狂わせる

「つみたて投資枠は埋まっている。さて、余っている成長投資枠で次は何を買おうかな?」
「つみたて投資は順調だけど、もっと効率よく増やせる正解が他にあるんじゃないか?」

もし今、あなたがそんなふうに「次の正解」を探し始めているなら、少しだけ立ち止まってみてください。

その気持ちは自然です。むしろ、投資に慣れてきた証拠でもあります。
ただ、このタイミングで「正解」を外側に探し続けると、せっかく整ってきた運用が、少しずつブレやすくなるんですね。

なぜなら、投資の世界における「正解」探しは、ほとんどが後出しじゃんけんだからです。

去年のチャートを見て
「あの半導体株を買っていれば3倍だった」
「あの外国株式ファンドが正解だった」
と言うのは、誰にでもできます。

でも、これから先の未来において、どの国が、どの業種が、どの銘柄が「正解」になるかを100%当てるのは、プロでも至難の業です。

そして外側に正解を求め始めると、あなたの投資の軸は「自分」から「マーケット(他人の思惑)」へと移ります。
流行を追いかけ、SNSのおすすめに揺れ、一喜一憂することになると思います。

これ、実はすごくよくある流れです。
増えているのに、なぜか落ち着かない。
「このままでいいのかな?」が頭から離れない。

でも、あなたが本来目指していたのは、
きっと「心穏やかな資産形成」だったはずです。

家計を経営する「インフラ」と「新規事業」

ここで少し視点を変えて、新NISAの二つの枠を「ビジネス」の文脈で整理してみましょう。
家計を一つの「会社」に見立ててお話ししてみましょう。

つみたて投資枠は、会社を支えるインフラ(基盤)です

「つみたて投資枠」は、会社でいう「本業の安定運営」に近い場所です。

電気・ガス・水道のようなインフラを整え、固定費を管理し、毎月のキャッシュフローを崩さずに回し続ける。
本業が安定している会社ほど、多少の景気の波があっても倒れません。

家計も同じで、まずは生活の土台を守りながら、長期でコツコツ積み上げる仕組みを作ることが大前提になります。
全世界株式やS&P500などのインデックス投資は、その本業を支える仕組みとなります。ここは感情を入れず、淡々と続ける場所です。

成長投資枠は、未来を切り拓くための新規事業(戦略投資)です。

本業(つみたて投資枠)が安定してきた会社が、次の成長のために研究開発をしたり、新しい販路に挑戦したり、採用や設備投資にお金を使ったりしますよね。
それと同じで、成長投資枠は「もっと伸ばす」「自分の意思やこだわりを反映させる」ための予算です。

ただし、新規事業には共通点があります。
最初から、必ず成功するとは限らないということです。
だからこそ会社は、新規事業に全財産を突っ込んだりはしません。
うまくいかなかった時に立て直せるように、投資額を区切り、失敗しても致命傷にならない範囲で試します。

家計もまったく同じです。
インフラと本業(つみたて投資枠)が整っているからこそ、成長投資枠で新しい挑戦ができます。
逆に言えば、生活の土台がまだ不安定なうちは、成長投資枠で無理に攻めなくてもいいのです。
新規事業の成功より先に、会社が潰れない仕組みの方がずっと大事だからです。

そして、もう一つだけ大切なこと。
成長投資枠は「空いているから埋める」場所ではありません。
あなたの会社(家計)が、これから何を大事にしたいか。
その戦略が決まった時に、はじめて意味を持つ枠です。

つまり、成長投資枠の正解はマーケットの中にあるのではなく、あなたの中にあるということ。
ここを見失わないことが、迷子にならない最大のコツです。

では次に、「守り」と「攻め」を混同すると何が起きるのかを考えてみたいと思います。

「増やすこと」と「減らさないこと」の決定的な違い

私が相談の中で、繰り返しお伝えしていることがあります。

それは、
「資産を増やすこと」と「資産を減らさないこと」は、似ているようで全く違う
ということです。

「銀行では増えないから投資信託を買う」
これはどちらかというと、「資産を減らさない(インフレによる価値低下を防ぐ)」ための防衛策です。
つまり、負けないための投資です。

一方で、成長投資枠を使って積極的にリターンを狙いに行くのは、「資産を増やす」ための攻めの投資です。

多くの人は、この二つを混同したまま「なんとなく儲かりそうなもの」を探してしまいます。

  • 「減らしたくない」が強いのに、値動きの大きい投資をすると、ちょっとの下落で心が削られます。
  • 「増やしたい」が明確なのに、怖くて現金を抱えすぎると、いつまでもゴールに届きません

あなたが今、成長投資枠でやろうとしていることは、攻めですか?守りですか?
まずはここを整理したいんです。

正解に価値は無い、問いに価値がある

ここまで読んで、こう思った方もいるかもしれません。

「じゃあ、結局なにを買えばいいの?」
「FPなら答えを教えてよ」

でも私は、銘柄名より先に、あなたの中に「迷ったときの道しるべ」を一本立てる方が大切だと考えています。

私が大切にしているフレーズを、ここでお伝えさせてください。

「正解に価値は無い、問いに価値がある」

どの銘柄を買えば数倍になるか、という「正解」は、時代が変わればゴミ箱行きです。
でも、あなた自身の中に立てた「問い」は、投資の道しるべになります。

たとえば

  • そもそも、私は資産を増やすのは何のためか?
  • 20年後、そのお金で誰と、どんな景色を見ていたいのか?
  • 今の生活を1ミリも崩さずに、どこまでのリスクを笑って許容できるか?

新NISAが3年目に入り、運用益が出ている今だからこそ。
外側の「正解探し」を一度やめてみませんか。

価値があるのは、誰かが提示する答えではなく、あなたが自分自身に投げかける「問い」の深さです。

自分の「問い」を、成長投資枠の答えにする

自分の中に「問い」が立つと、成長投資枠の使い道は自ずと絞れてきます。

問い:「将来の不安を減らして、今は仕事や家族に集中したい」
→ 答え:成長投資枠も迷わない設計にして、あえて「余計なことをしない」と決める。
    ※つみたて投資枠と同じものを追加することで、選択肢を増やさない、というのも立派な戦略です

問い:「物価高に負けず、毎月の生活にゆとりを持たせたい」
→ 答え:成長投資枠の一部をキャッシュフローを意識した資産に振り分け、生活の安心感を高める。
    ※配当金や分配金を考慮に入れる

問い:「自分の経験を活かして、世の中を良くする企業を応援したい」
→ 答え:徹底的に調べ抜いた上で、応援し続ける覚悟が持てる対象を長期で持つ。
    ※短期で売買するより、長期保有を前提にしたい

どれが正しい、ではありません。
どれが「あなたにとって自然か」。
ここが一番大事です。

2026年、投資を「作業」から「生き方」へ

新NISAという素晴らしい箱が用意され、私たちは「とりあえず始める」という最初のステップをクリアしました。
2026年はそこから一歩進み、投資を単なる「お金を増やす作業」から、自分の人生を表現する「生き方」へと昇華させる年にしませんか。

もし今、明確な「問い」が見つからないのなら、無理に成長投資枠を埋める必要はありません。
インフラ(つみたて投資枠)を維持し、現金を蓄え、自分の心が「これだ」と動く問いに出会うまで待つ。

それもまた、立派な経営判断です。

投資の主役は、いつだってあなた自身です。
「正解」という名の後出しじゃんけんに惑わされず、あなただけの「問い」を磨き上げる1年にしていきましょう。

その問いの先に、きっとあなただけの豊かな未来が待っているはずです。

今日の宿題(30秒)※まとめのかわりに

成長投資枠は、次の3つのうちどれですか?

A:安心を買う(ブレない設計)
B:生活のゆとり(キャッシュフロー)
C:応援したい(意思の投資)

まずは、選ぶだけでOKです。買うのはそのあとで大丈夫。

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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