外貨建て投資信託のリスクを教えて!福井のFPが解説します

 現在、日本で販売されている投資信託は2023年11月で5898本(一般社団法人 投資信託協会データより)あります。ここまでくると多すぎてよくわかりません(笑)この5898本の投資信託には、円建て、外貨建てと言われる投資信託があります。日本国内を投資対象とする投資信託は円建てになるので、私たちも分かりやすいです。しかし、外国の金融商品を対象にする投資信託は、その国の外貨建てとなり、その通貨の為替変動の状況により利益や損失に影響が出ます。今回は、外貨建て投資信託について解説をしていきたいと思います。

外貨建て投資信託のリスクとは?

 外貨建ての投資信託のリスクを考えるとき、2つのポイントがあります。それは「為替変動」と「基準価額の変動」です。

 為替変動は、円高円安ということですが、よく聞くのはドルと円の相場です。1ドル142円12銭(令和5年12月15日終値)というアレです。基準価額の変動は、投資信託そのものの価値、評価額となります。この2つのポイントから外貨建て投資信託のリスクをどう考えるのか解説していきます。

購入時はいくらになるか?

 外貨建ての投資信託はその通貨で販売されます。今回は馴染みのある「ドル建て」で話をしていこうと思います。

 ドル建ての投資信託があり、1口100ドルだったとします。この投資信託を購入するとき、日本円でいくらになるかは、そのときの為替レートによります。1ドル142円の場合は100ドルで14,200円となります。令和4年1月に購入していると当時1ドル115円でしたので、11,500円となります。ドル円の為替レートによって同じ価額の投資信託でも日本円で支払う額は異なります。

 このように差があると、購入するときに割高感、割安感など、気持ちが変わりますね。

購入後はどう考えるか?

 購入する金額を把握することができたら、その後どうなるかを考えます。円高になるケース、円安になるケースです。

 簡単にいうと、投資信託の基準価額が同じであれば、購入したときより円安になると利益が出るし、円高になると損が出ます。ドルを円に換えるので、1ドル150円という円安になると100ドルは15,000円となりますし、1ドル110円と円高になると100ドル11,000円となり、日本円にしたときに異なる金額となります。

 まずは、為替変動によって、損益が変わることがあると理解する必要があります。購入時、売却時に影響があります。

 為替ヘッジというものがあるらしい

 参考程度にお伝えしたいことがあります。外貨建ての投資信託に「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」があります。為替ヘッジとは、為替リスクを回避するオプションみたいなもので、そのオプションを付けておくと為替変動の影響を受けずに済みます。

 ただし、為替ヘッジを付けるのに手数料がかかりますし、思ったより高い印象があります。私ライフスタイルプラス的には、為替ヘッジなしをお勧めしております。

 カントリーリスクも気にしたい

 外貨建ての投資信託には、為替変動以外にもきにするポイントがあります。それは、カントリーリスクです。その国の政治情勢などによって通貨価値が下がるリスクです。世界では戦争も起きるし、経済が悪く転じる国もあります。予想できない部分もありますが、政治情勢に不安がある地域は避けることが賢明です。そういう地域は金利が高いことも多く、魅力的に見えるかもしれませんが、その分リスクも高いと考えてください。

 基準価額の変動とは?

 投資信託の基準価額が変動とは、どういうことでしょう。簡単に説明すると、中に入っている資産の価値によって影響されます。投資信託は、複数の株や債券などの資産を持っており、それらの資産の価値が変動することで基準価額も変わります。

 例えば、投資信託が株式を持っている場合、その株式市場全体が上がったり下がったりすると、基準価額もそれに連動して変動します。同様に、債券が含まれる場合は金利の変動や債券市場の状況によっても基準価額は変わります。

 投資信託の基準価額は日々計算され、その日の市場状況や資産の価値によって決まります。そのため、基準価額は常に変動し、投資家の資産価値もそれに応じて上下します。投資信託がどのような資産を持っているか、それら資産の価値がどう変動しているかを意識すると良いでしょう。

為替変動と基準価額変動をどう考えるか?

 この2つの要因、為替変動と基準価額変動の組み合わせで考えていきます。円高と円安、基準価額の上昇と下落、この組み合わせになるので4つのパターンになります。

基準価額が上昇したとき 

 基準価額が上昇したときに、円高になるケースと、円安になるケースがあります。先ほど為替変動の解説で、円安で利益が出て、円高だと損が出るという話をしました。基準価額が上昇すると、円安だとダブルで利益が出るし、円高だと上昇の利益が薄まることになります。具体的に数字でみてみましょう。

 1口100ドルで購入した外貨建て投資信託が上昇して120ドルになったとします。当時1ドル142円で購入していると、14,200円の投資で17,040円(120ドル✖142円)となり、利益が出た!となります。

 たとえば、142円が150円という円安になると、120ドル✖150円で18,000円となり、思いのほか利益が出た!円安ありがとう!となります。

 次に、142円が130円という円高になると、120ドル✖130円で15,600円となり、利益が出たけど損した気分みたいになります。購入時の14,200円よりは利益が出てますけどね。

基準価額が下落したとき

 基準価額が下落した時はどうなるでしょうか。

 1口100ドルで購入した外貨建て投資信託が下落して90ドルになったとします。当時1ドル142円で購入していると、14,200円の投資で12,780円(90ドル✖142円)となり、損をした!となります。

 たとえば、142円が150円という円安になると、90ドル✖150円で13,500円となり、損をしたと思ったら利益が出た!円安ありがとう!となります。

 次に、142円が130円という円高になると、90ドル✖130円で11,700円となり、損をしたのは分かるけどダブルパンチで損が大きくなった!となります。

まとめ

 いかがでしたでしょうか?

 外貨建ての金融商品は気にするポイントが多くあります。今回は外貨建て投資信託の話をしましたが、これは外貨建て生命保険も同様に考えることができます。

 為替と価額、どちらも変動しますので、気にするポイントが増えることを理解したうえで、投資をするとストレスが減るのではないかと思います。

 想像以上に利益が出る、思っている3倍損をする可能性がありますが、活用次第では保有するメリットがあると思います。自分の資産の置き場所として外貨を保有することはアリです。ただ、注意が必要ということです。