家族信託はどれくらいの期間で手続きが完了するのか?

 相続対策、親の認知症対策のひとつとして「家族信託」が有効な手段として、全国的にも認知されつつあります。認知症になってしまえば成年後見制度のお世話になるのですが、なかなか難しいというネガティブが散見されます。

 福井でも、私が代表として立ち上げた福井県家族信託協会で、家族信託の相談、手続きが出来るようになりました。福井県家族信託協会には、FP,IFA、家族信託コーディネーター、不動産、司法書士、税理士が在籍しており、家族信託だけでなく相続全般の相談をすることができます。

 家族信託の相談、手続きができる機関は、全国的に数が少ないと実感しています。銀行がもっと積極的に展開してもよさそうなのですが、難しいようです。

 さて、そんな家族信託なのですが、どれくらいの期間が必要になるのか確認していきたいと思います。なぜ、期間の話をするのかというと、認知症になってしまっては家族信託の契約書に署名することが難しくなるからです。認知症が心配で今のうちに家族信託契約を!と思い立ったとして、どれくらいで完了するかが気になりますよね。

家族信託の手続きの種類は?

 家族信託を契約するためには、どのような手続きが必要なのでしょうか?確認していきましょう。

  • 家族会議
  • 信託財産の確定
  • 信託契約書の作成
  • 信託契約の署名、公正証書化
  • 信託口口座の開設、入金
  • 不動産登記
  • 遺言書作成

このような流れとなります。ひとつずつ見ていきましょう。

家族会議

 この会議が入り口になるのですが、超重要ポイントです。家族信託に関する登場人物は、委託者、受託者、第二受託者で構成されます。相続に関する家族、親族の人数が多くても、この3人だけで契約を進めることができます。

 が、しかーし、その3人で勝手に進めると皆さまご想像の通り揉めます。間違いなく揉めます。ということで、家族会議が重要ポイントとなります。関係する家族、親族に伝えることが大切です。お金や不動産など、相続財産のことですから、当然と言えば当然。

信託財産の確定

 家族信託の契約書に、どの財産を信託するのか決めます。親の財産をすべて信託する必要もなく、選択します。委託者である親が認知症になってから、受託者である子が動かしたい財産を信託財産とします。例えば、施設の費用に充当したい金銭、そのために売却したい不動産が中心になると思います。また、収益物件(アパートや駐車場)を親名義で保有している場合は、新規の契約をするためにも信託財産にしておく必要があります。認知症になるとアパートの入居契約もできませんからね。

 さまざまな想定を検討して、信託財産を決めていきます。

信託契約書の作成

 委託者、受託者、第二受託者と信託財産が決まれば、信託契約書の作成となります。この契約書は司法書士の先生、家族信託コーディネーターと相談しながら作成します。

 この契約書作成は気を使います。慎重になります。無効になっては意味がありませんから、注意していきます。

信託契約の署名、公正証書化

 信託契約書が完成したら、いよいよ署名手続きとなります。公正証書とするため全員で公証役場に出向いての手続きとなります。ここで、ひと山超えたようになります。

信託口口座の開設、入金

 信託契約書の公正証書化が終われば、金融機関で信託口口座を開設します。そして入金。この口座にある資金を受託者が動かせるようになります。

不動産登記

 信託財産に不動産があれば、信託登記をします。信託登記が完了すれば、受託者が売却、アパートでしたら契約などが出来るようになります。リフォーム契約も関係してきます。

遺言書の作成

 遺言書は家族信託とは直接関係ないのですが、家族会議の中で信託財産をどうするか決めていく中で、他に財産があれば相続の話題が出てくることになります。そこで、決まったものがあれば、司法書士の先生もいますし、公正証書遺言にするにも公証人の先生とつながりができていますから、スムーズにできると思います。親の意向に沿った遺言書を作成できると良いですね。

他には?

 ほかにあるか?と聞かれれば、他にもあります。有価証券を保有していると、証券会社で証券の信託口座を開設しておくと、受託者が取引できるようになります。相場によって今のうちに売却したいと思っても、信託口座にないと取引できません。他人の有価証券を勝手に取引することはできませんから。親子でも他人、夫婦でも他人です。

家族信託に必要な期間は?

 家族会議は、家族ごとに必要な期間が異なります。ですから、ここでは家族信託に必要な期間に含めないでおこうと思います。個別事情で差が出るということで。

 この家族会議では、受託者と第二受託者を決めること、信託財産を決めることです。家族信託契約を締結すると、受託者が自由に出来るように見えます。実際、自由にできます。家族会議を通して認識を共有しておくことが大切です。そのために、期間をしっかりとって、回数を重ねていきたいと考えます。揉め事のタネを取り除きましょう。

0か月目
家族会議

信託財産も決めていきます。

1~2か月
信託契約書の作成

2~3か月目
契約書への署名、公正証書化

3~4ヵ月目
信託口口座の開設、入金

4~5ヵ月目
不動産登記・遺言書作成

この期間は目安になりますが、このように進んでいきます。

 福井県家族信託協会としては、この日程をどれだけ短縮できるか取り組んでいきたいと考えています。家族信託をすると決めたら、親の認知症も心配だし、早く終わりたいと考えると思いますので、しっかり取り組んでまいります。

まとめ

 いかがでしたでしょうか?今のところ4~5カ月は必要になります。ライフスタイルプラスとしても積極的に加須億信託を推進しています。この手続きの期間をどれだけ短縮できるか、司法書士の先生、公証人の先生、金融機関と連携を強化していきます。もっと短縮できると思います。できれば、3ヵ月での完了を目指したいと思います。

 終活にも終活にもいろいろな取り組みがあります。相続対策にもいろいろあります。相談相手の税理士、司法書士、ファイナンシャルプランナーなど、得意不得意があると思いますが、加須億信託を解決方法として持っている人は少数派です。どこに相談するかで解決策が制限されないようにしてください。