お盆に「相続の話」は話しにくいか──でも、今だからこそできる家族の会話

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お盆の帰省で、ちょっと気になる「あの話」

お盆の時期、久しぶりに家族が顔をそろえるという方も多いのではないでしょうか。
親の笑顔にホッとしたり、懐かしい風景に癒されたり。
だけど、どこかでふと感じるちょっとした違和感──「あれ、親の足取りが前よりゆっくりかも」「実家の片付け、ちょっと大変そうだな」など、そんな気づきがありませんか?

「元気なうちはまだ早いよね」「いま言うのはちょっと気まずいよね」
そう思いながらも、心のどこかで気になっている人が多いのが、「相続」のことです。

相続の話は「お金」よりも「思いやり」から始まる

「相続」と聞くと、どうしても「財産」とか「争い」とか、ちょっと重たいイメージがつきまといますよね。
でも、実際にご相談を受けていると感じるのは、相続に対する準備とは本来「家族が困らないようにしておく準備」なんだということです。

「気持ちをつなぐことが大切」――そんな言葉を耳にすることもありますが、現実はそう簡単ではありません。
理想と本音、建前と現実。その間で揺れるのが、相続というテーマの難しさでもあります。

何も決まっていなくても大丈夫。
「もしものとき、家族が困らないように」
その気持ちさえ共有できていれば、きっと準備はスムーズに進みます。

切り出し方で9割決まる!?──気まずくならない話し方のコツ

とはいえ、いざ話そうとすると、つい構えてしまうのが相続の話。
「うちのお金のことを探ってるの?」なんて思われたらイヤですし……。家族で相続の話をするのに、切り出し方が一番ハードルが高いかもしれませんね。

でもご安心ください。
大切なのは、「相続」という言葉を使わず、雑談や日常会話の延長で自然に切り出すことです。

たとえばこんなふうに話してみてはどうでしょうか。

💬「この家、将来どうするの?」

帰省中にふと、「この家って、もし誰も住まなくなったらどうするの?」と聞いてみる。
空き家問題もよく耳にする今、これはとても自然な問いかけです。

兄弟姉妹がその場にいて、「自分たちが住もうかな」などと会話が発展するかもしれません。そうなると、相続の話が動き出すことになるかもしれません。

💬「お墓って、今は誰が見てるの?」

お墓参りのあとに「このお墓、将来的には誰が見ることになるのかな?」と聞いてみる。
宗教や供養の話から、自然と終活や家族の将来へとつながります。

長男が管理するものと思っていても、住まいが遠方でしたら、別の誰かが・・・となるかもしれません。

💬「通帳とか保険証書、どこにあるか教えてもらえる?」

いざというとき、「どこに何があるか」が分からなくて困るケースはとても多いです。
「家族の緊急連絡帳」として、場所だけでも共有しておくと安心です。

取引銀行は複数あるのか?ネット銀行、ネット証券は使っているのか?生命保険の契約はあるのか?内容までは確認できなくとも、あるのかないのかだけでも知らせてくれると、助かりますよね。

☝️ポイントは「責めず・決めず・あたたかく」

  • 「なんで教えてくれないの?」ではなく
     →「私も知っておいたほうが安心かなって」
  • 「こうしておいてよ」ではなく
     →「一緒に考えてみようよ」

この言い方のひと工夫で、ぐっと話しやすくなります。

話す前に「自分の考えを整理する」という選択も

「それでも、やっぱり難しいな…」
そう思ってしまうのも、当然のことです。

無理に誰かと話そうとしなくてもいいんです。
まずは、自分の考えを少しずつ整理してみること。
相続の話って、「何をもらえるか」が先に浮かぶと、途端にギスギスしてしまうことがありますよね。

でも、「自分はどうしたいのか」「家族の空気はどうか」――そんなふうに、一歩引いて考えてみると、ちょっと違った景色が見えてくるかもしれません。

「まだ早い」ではなく、「今だからこそできる」ことがある

相続の話って、つい後回しにしたくなるものです。
でも、「まだ早い」と思っている今こそが、実は一番、自然に話せるタイミングかもしれません。

お盆は、故人をしのび、家族と向き合う特別な時間。
だからこそ、少しだけこれからのことを考えてみる。
それが、家族を守る大切な一歩になります。

無理なく、やさしく、あなたらしいかたちで。
この夏、小さな一言から始めてみませんか?

まとめ

相続の話は「争族」とも言われるように、残念ながら揉めることが少なくありません。だからこそ、元気なうちに、少しずつ話題にしておくことが大切です。お盆など家族が集まるタイミングは、その第一歩を踏み出すチャンスかもしれません。「ちょっとだけ」「一部だけ」話すだけでも十分です。すべてを一度に話そうとしなくて大丈夫ですよ。

実際、私がご相談を受けるのは、「すでに揉めてしまった」「揉めそうな気配がある」という段階のことが多くあります。逆に言えば、「問題がなさそうなうちは相談しようと思わない」のかもしれませんね。

でも、いざ相続が発生してから揉めるのは、もっと大変です。
「今のうちに少し揉める」か、「相続発生後に本格的に揉める」か……そんな“地獄の二択”になることもあります。

あなたのご家族は大丈夫でしょうか?
もし、少しずつでも話し合いを始めてみようと思ったら、お声がけください。第三者である私が入ることで、意外とスムーズに話が進むこともあるんですよ。

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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