地方に暮らしていると、戸建てに住んでいる方が多いですよね。
実家を引き継いだ、子育てのために広い家を建てた、土地があるから戸建てが当たり前だった…。
そんなふうに、今の住まいが「暮らしのベース」になっている方も多いのではないでしょうか。
でも、ふとした時にこんなことが頭をよぎることはありませんか?
「このまま、今の家に住み続けていていいのかな」
「そろそろ、住み替えも考えるべきかもしれない」
ライフステージの変化、子どもの独立、体力の低下、老後の見通し。きっかけはさまざまですが、「住まい」を見直すタイミングは、暮らしと家計の転換点でもあります。
退職が見えてくると、老後をどうしようという悩みが現実的になってきます。今のまま戸建ての住宅に住み続けるのか、またはマンションへ住み替えるという手もあるのかと、考える人もいらっしゃると思います。
実はこの住み替えという選択が、家計の流れを見直す大きなチャンスになることをご存知ですか?
今日は、私がFP相談で感じた「住まいを変えると、お金の使い方まで変わる理由」についてお伝えします。
固定費が変わる=家計の“クセ”が変わる
住まいを変えると、当然ですが住宅にかかる毎月の固定費も変わります。
戸建てにお住まいの方の場合、住宅ローンが終わっていても、維持管理費がじわじわとかかってくるケースが多いもの。
例えば、築20年を超える家では、屋根や外壁の修繕、給湯器の交換など、突発的な出費が避けられません。
リフォームは「いつ」「いくら」なのか、分からない心配もあります。もしかしたら、リフォームの必要ないまま生活できるかもしれません。
一方、マンションなどに住み替えると、管理費や修繕積立金が毎月かかる代わりに、費用が計画的に管理され、支出が予測しやすくなるというメリットもあります。新しい物件だと修理が必要な場面はあまりないと思います。
また、断熱性の高い建物に移ることで、光熱費がぐっと下がるケースもあります。
家計において、予測できる支出と予測できない支出では、安心感が異なります。できるだけ、コントロールできるようにしておくと、家計の「クセ」があったとしても、整っていきます。

暮らし方が変わると、お金の使い方も変わる
住まいは「立地」や「間取り」だけでなく、日常生活そのものに影響を与えるものです。
たとえば――
- 駅近のマンションに住めば、車が不要になり、維持費が大きく削減できる
- スーパーが近くなれば、まとめ買いから“無駄買い”が減る
- 階段のない暮らしは、将来的な転倒リスクの低下にもつながる
高齢で介護が必要な状況になる要因として、第1位は認知症、2位は脳血管疾患、その次に多いとされるのは転倒・骨折です。しかもその8割は自宅内というデータもあります。
病気を防ぐのは難しいですが、自宅での転倒を防ぐことはバリアフリーにするなどでできると思います。マンションはワンフロアーでバリアフリーがほとんどです。
さらに、「庭の手入れ」「雪かき」「自治会活動」などから解放されるようになります。
こうした変化は、お金だけでなく時間や体力の使い方にも影響します。
車の保有については、悩むところがあります。車が無くても生活できる立地のマンションに住んで車を手放すと、ガソリン代、車検、保険などの維持費も不要です。ただ、車を手放す寂しさもあります。思い立ってパッとドライブに行くなんてこともできなくなります。
住まいという前提が変わると、暮らし方が変わります。暮らし方が変わると、お金の使い方も変わります。
そして、その変化は、お金の流れを自然に整えてくれる方向へ進んでいきます。
気持ちが整うと、お金の判断力も整う
「気持ちがラクになった」
「安心して将来を考えられるようになった」
これは、住み替えをされた方からよく聞く声です。
家のことがずっと気になっていた。
老後のことが漠然と不安だった。
そういった“心のもやもや”が落ち着くと、自然とお金の判断にも落ち着きが生まれます。
すると、焦って高額な保険に入ったり、勢いでモノを買ってしまうような「不安ベースのお金の使い方」が減っていきます。
戸建てから、実際にマンションに住み替えた方と話をしたことがあります。その方は、終活の延長線上に住み替えがあったということです。いろいろと処分をする中で、最後は自宅を売却、そしてマンション購入となりました。遺すなら戸建ての古い自宅よりマンションを、という判断もありました
また、自宅に住み続けることは、家族の想い出も一緒に暮らすことです。それは安心につながると思います。これまでと同じ近所の皆さまと過ごすことも安心感があります。お互いに気に掛けることが良いのだと思います。
どちらが心穏やかに過ごせるのか、安心なのか。気持ちが整うと、お金も整っていくでしょう。

とはいえ、住み替えには大きなお金がかかります
ここまで、住み替えの良い面を強めにお伝えしてきましたが、忘れてはいけないのが「初期費用の大きさ」です。
- 売却・購入にかかる仲介手数料や登記費用、税金
- 引っ越し代、家具・家電の買い替え
- マンションであれば初年度から管理費・修繕積立金がかかる
- 新たに住宅ローンを組む場合は、諸費用や団信(団体信用生命保険)の見直しも必要
- 住宅ローンが使えなかったら、現金での支払いとなる
これらを合わせると、数百万円単位の出費になることも珍しくありません。現金購入となると数千万円となります。
住み替えたら、支出の予想が立てられるし、ランニングコストは下がるかも、というのも本当ですが、それは最初の投資があってこそです。だから、目先の金額だけで判断することなく、「住み続ける場合」と冷静に比較してみることが大切です。

まとめ:「住まいの選択」は、人生設計のひとつ
住み替えは、単なる「引っ越し」や「買い替え」ではなく、
これからの人生をどんなふうに歩んでいくかを選ぶ機会です。
「今の家のままで、本当に安心して暮らしていけるだろうか?」
「お金のこと、将来のこと、少しでも不安があるなら、動く価値があるのでは?」
そう思ったときが、住まいとお金を見直すチャンスです。
■ 一歩踏み出したい方へ
家計や将来のことを考えると、「何から始めたらいいかわからない」という方も多いです。
そんなときは、**ライフプラン表で全体像を“見える化”**することから始めてみましょう。
ライフプランを一緒に作成することで、
住み替えによってどう家計が変わるか、将来の安心がどう変わるかも整理できます。
🟢 初回相談(60分1,000円)受付中
➤ 「住み替えとお金の整理」について話してみたい方、お気軽にどうぞ
「正解より、納得。」
それが、私が大切にしているお金とのつき合い方です。
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金利が上がってきた今、住宅ローンをどうする?これからの選択を考えよう
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Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております