シニア世代へ贈る言葉 セカンドライフを充実させるポイント

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 長年頑張ってこられたシニア世代の皆様、心からの敬意を表します。ゆっくりとご自身の時間を楽しめるセカンドライフは、楽しい期間になるでしょう。私ももう少しでシニア世代です。しかし、一方で、これからの生活にかかるお金のことは、少し気がかりなこともあるのではないでしょうか。

 人生100年と言われる現代、思っているより長い時間を生きることになります。医学の進歩により長生きができることは喜ばしいことですが、その分、医療費の負担も気になりますし、物価の上昇も無視できません。年金だけで本当に安心して暮らしていけるのか、経済的な不安を感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。

セカンドライフの収入源:年金を理解する

 セカンドライフの収入の基礎となるのが「老齢年金」です。長年、日本の経済を支えてこられた皆様にとって、年金は大切な収入源となります。

 私たちが受け取る公的年金には、主に「国民年金」と「厚生年金」の2種類があります。自営業の方や専業主婦(夫)の方などが加入されていたのが国民年金、会社員や公務員の方が加入されていたのが厚生年金です。加入期間や収入によって、受け取れる年金額は一人ひとり異なります。

 ご自身の年金がいつから、いくら受け取れるのか、きちんと把握されていますでしょうか? 「ねんきん定期便」には、これまでの加入状況や将来の年金見込額などが記載されていますので、ぜひ一度しっかりと確認してみてください。もし紛失してしまった場合や、もっと詳しく知りたい場合は、マイナポータルで確認することもできます。

 そうは言っても、 現在の経済情勢や少子高齢化の影響などを考えると、年金だけでセカンドライフのすべてを賄うのは、難しい場合も考えられます。だからこそ、年金だけに頼るのではなく、ご自身の金融資産を賢く運用したり、年金以外の収入を確保したりすることが大切になってくるのです。

金融資産の運用:NISAを活用する

 「投資って、なんだか難しそうだし、リスクもあるんでしょう?」などと思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに投資には元本割れのリスクがありますが、現在の低金利時代において、預貯金だけで金融資産を増やしていくのは難しいのが現実です。

 そこで活用したいのは2024年に制度が拡充されたNISAです。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があり、年間で合計360万円、トータル1800万円の投資枠が設定されています。運用益が非課税になるという大きなメリットがあります。

シニア世代にとってのNISA活用法

 例えば、「つみたて投資枠」は、年間120万円(毎月10万円)で積み立て投資をします。120万円を一括投資するより分割して投資をすることで、リスク分散に繋がります。裏を返せば利益も分散すると言えますが、株価が大きく下落する状況でも慌てずに対応できます。

 一方、「成長投資枠」は、それなりのリターンを目指したい方や、まとまった資金を投資に回したい方に向いています。一括投資をする場合は、相場の動き(上昇も下落も)により資産価値に直撃することになりますが、債券、投資信託など、比較的低リスクの商品を選ぶことで、心穏やかに投資をすることができます。

シニア世代の投資スタンス

 シニア世代が投資を始める際には、「資産を増やす」ことより、「資産を長持ちさせる」というスタンスが向いています。手元にある資産を5倍、10倍にするぞ!ではなく、15年でなくなりそうな資産を20年、25年と長持ちさせるにはどうするか?というスタンスです。

 リターンを求めると、セットでリスクを取ることに繋がります。ハイリターンとハイリスクはセットです。ローリターンでOKだと、ローリスクで投資ができます。

 もうひとつ、投資に関する重要なポイントがあります。銀行、証券などのセールストークを鵜呑みにしないことです。もしかしたら、これが最重要かもしれません。あちらは情報がありますが、こちらは情報を持っていません。押し切られて購入することも考えられます。利益が出ることもありますが、損失が出ることもあります。上昇・下落で一喜一憂しながら、落ち着かない生活になるかもしれません。いずれにしても、自分で決めたという納得感は必要だと思います。

プラチナNISAが登場するらしい

 2026年から65歳以上を対象にした「プラチナNISA」がスタートするようです。現状のNISAに追加機能となるような仕組みです。毎月分配型の投資信託がラインナップに加わるようですね。ちなみに、毎月分配型の投資信託は現NISAの投資対象になっていません。情報が出そろった頃にあらためて案内したいと思いますが、あまり飛びつくようなものではないと考えています。

備えあれば憂いなし:セカンドライフの支出と家計管理

 安心してセカンドライフを送るためには、収入だけでなく、支出についてもきちんと把握、管理しておくことが大切です。セカンドライフの主な支出としては、日々の生活費はもちろんのこと、医療費、介護費用、そして趣味や旅行などを楽しむための費用などが挙げられます。 医学の進歩により長生きする可能性が高まる一方で、医療費や介護費用はこれまで以上に高額になることもあります。経済的な長生きのリスクと言われています。

 また、物価上昇も考慮に入れる必要があります。今までと同じ生活水準を維持しようとしても、より多くのお金が必要になる可能性があります。

 そこで重要となるのが、「老後資金」の準備です。病気やケガ、住宅の修繕など、予測できない支出に備えて、ある程度の手元資金の余裕を持っておくことが、精神的な安心にも繋がります。

 年金収入と投資による収入、そして老後資金をどのようにバランス良く活用していくのか、ご自身のライフスタイルや価値観に合わせて、セカンドライフのライフプランを立てることが大切です。2019年には老後資金2000万円問題が大きく取り上げられ、多くの人が自分の老後を心配することになりましたが、個別も問題として考えるとそれぞれ事情が異なります。あくまで、あなた自身、あなたの家族はどうなるか?というライフプランを検討してほしいと思います。ライフスタイルプラスでは、個別で相談をすることができ、オリジナルのライフプランを一緒に作成することができます。

大切な資産を次世代へ:相続対策の基礎

 ご自身が築き上げてきた大切な資産を、次の世代へスムーズに引き継ぐことも、セカンドライフにおける重要な相続戦略の一つです。

 もし何も対策をせずに相続が発生した場合、遺産分割協議で家族のなかで意見の対立が生じたり、思わぬ相続税が発生したりする可能性があります。

 「争族」といわれる家族間でのトラブルを避けるために、早めに「相続対策」を始めることが大切です。基本的な対策としては、「遺言書の作成」があります。遺言書を作成しておくことで、ご自身の意思に基づいて、誰に何を争族させるかを明確にすることができます。

 また、生前に資産を少しずつ贈与する「生前贈与」や「相続時精算課税」制度の活用、相続税の納税資金を準備するためや※代償分割するために「生命保険」を活用するなどの方法もあります。
 ※代償分割とは、遺産分割において、特定の相続人が他の相続人よりも多くの不動産などを取得する場合、その差額を代償金として他の相続人に支払うことです。

 相続に関する手続きや税金は複雑な場合もありますので、専門家(弁護士や税理士など)に相談することも検討してみましょう。福井県内にも、相続に強い弁護士、税理士がいらっしゃいますし、ライフスタイルプラスでご紹介もできます。じつは、どの先生でも相続が得意という訳ではありません。ハズレを引かないようにしましょう。

まとめ:安心して豊かなセカンドライフを送るために

 今回は、シニア世代の皆様が、安心して豊かなセカンドライフを送るためのセカンドライフ戦略について解説してきました。年金の理解から始まり、NISAを活用した 資産の運用、 老後資金の準備、そして大切な資産を次世代へ繋ぐための相続対策まで、 幅広い対策が必要な要素があります。

 もし、ご自身のセカンドライフプランについて不安を感じたり、誰かに相談してみたいと思ったら、遠慮なくFP(ファイナンシャルプランナー)にご相談ください。客観的で専門的な視点から、あなただけの最適なプランを一緒に考えることができます。福井県内にも、親身になって相談に乗ってくれるFP(ファイナンシャルプランナー)がいます。

今日からできることを一つずつ始めて、心豊かなセカンドライフを送りましょう!

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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