ふるさと納税の落とし穴3選|FPが教える損しない活用術【2025年版】 - 福井のライフプラン専門FP】資産形成相談|ライフスタイルプラス

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「ふるさと納税、やらなきゃ損だよ」 「実質2,000円で豪華な返礼品がもらえるんだよね」

そんな言葉を耳にして、ふるさと納税を始めた方、あるいはこれから始めようと思っている方も多いのではないでしょうか。

確かにふるさと納税は、上手に使えばとてもお得な制度です。でも、実は知らないと損をしてしまう「落とし穴」があることをご存じでしょうか?

今日は、私がFPとしてご相談を受ける中で実際に見かけた失敗例をもとに、ふるさと納税の3つの落とし穴と、家計全体で考えるべき大切なポイントをお伝えします。

落とし穴1:控除上限額の計算ミス

ふるさと納税で一番多いのが、この「控除上限額の計算ミス」です。

「年収500万円なら上限額は約6万円」といった目安表を見て、そのまま寄付をしてしまう方がいらっしゃいます。でも、ちょっと待ってください。その上限額、本当にあなたに当てはまりますか?

控除上限額は、年収だけでなく、家族構成や他の控除の状況によって大きく変わります。

たとえば、住宅ローン控除を受けている方。この控除は税額から直接差し引かれるため、ふるさと納税で控除できる枠が小さくなることがあります。また、医療費控除を受ける予定がある方も同様です。さらに、扶養家族の人数や配偶者の働き方によっても上限額は変わります。

ふるさと納税のサイトに「控除上限額シミュレーション」が準備されています。ここでは詳細版を活用してください。控除の項目(住宅ローン、iDeCo、生命保険、扶養など)を追加していくと、上限額が小さくなっていくのが分かります。簡易版だけで判断すると落とし穴に落ちてしまいます。

限度額を超えた分は、完全な持ち出しになってしまいます。 つまり、お得どころか、ただの寄付になってしまうんですね。お得感は無くなりますが、いい人になれます。

ここで大切なのは、「控除の優先順位」を考えることです。住宅ローン控除やiDeCoなど、他の控除と組み合わせて、家計全体でどう最適化するかという視点が必要になります。

落とし穴2:ワンストップ特例制度の落とし穴

「確定申告をしなくていい」と聞いて、ワンストップ特例制度を利用されている方も多いと思います。

この制度、確かに便利なのですが、いくつか注意点があります。

まず、寄付先が6自治体以上になると、この制度は使えません。 「あれもこれも欲しい」と返礼品を選んでいるうちに、気づいたら7つの自治体に寄付していた…なんてこと、よくあるんです。ワンストップ特例制度を使えるのは5自治体までです。

そして、もっと見落としがちなのが、他の理由で確定申告をすると、ワンストップ特例が自動的に無効になるということです。

たとえば、年の途中では予定していなかったのに、年末に高額な医療費がかかって医療費控除を申請することになった。または、副業の収入があって確定申告が必要になった。こういった場合、ワンストップ特例で申請していたふるさと納税も、改めて確定申告に含める必要があります。

さらに、申請書の提出期限は翌年1月10日必着です。年末年始の慌ただしい時期ですので、うっかり期限を過ぎてしまうこともあります。

ここから見えてくるのは、医療費控除などと合わせた、年間の税金対策スケジュールの必要性です。12月に駆け込みで寄付をするのではなく、年間を通じた計画が大切になってきます。

落とし穴3:実質負担額とキャッシュフローの勘違い

「実質2,000円でお得!」という言葉、よく聞きますよね。

でも、この「実質2,000円」の意味、正しく理解されていますか?

まず、どんなに寄付をしても、2,000円の自己負担は必ず発生します。 つまり、返礼品の価値が2,000円以下だったら、実はお得ではないんです。

また、「実質2,000円」というのは、所得税と住民税の控除を受けられる場合の話です。専業主婦(主夫)の方や、所得税・住民税を払っていない方がふるさと納税をしても、控除は受けられません。

そして、意外と見落とされがちなのがキャッシュフローの問題です。

たとえば、5万円をふるさと納税で寄付した場合、確かに48,000円は戻ってきます。でも、その戻り方は次のようになります。

  • 所得税分:確定申告後の還付(春頃)
  • 住民税分:翌年6月からの住民税減額として(1年かけて)

つまり、12月に5万円を寄付しても、その効果が実感できるのは翌年の6月以降なんです。お金の流れとしては、先に5万円を払って、1年以上かけて48,000円が戻ってくるイメージです。

「今月の家計が苦しいのに、年末にふるさと納税で大きな金額を寄付してしまった」という負担感に関するご相談もあります。

ここで重要なのは、資金繰りを含めた年間計画です。 家計のキャッシュフローに無理がない範囲で計画的に寄付をすることが大切です。

【2025年10月から】知っておきたい制度改正

ここまで3つの落とし穴をお伝えしてきましたが、実は2025年10月に大きな制度改正がありましたので、こちらも押さえておきましょう。

ポイント付与が原則禁止に

これまで、楽天ふるさと納税やさとふるなどのポータルサイトでは、寄付額に応じて独自のポイントが付与されていました。「ポイント○倍キャンペーン」などを狙って寄付をされていた方も多かったのではないでしょうか。

しかし、2025年10月から、ふるさと納税ポータルサイトによるポイント付与が全面的に禁止されました

「えっ、じゃあポイントは全くもらえないの?」と思われたかもしれませんが、ご安心ください。

クレジットカード決済によるポイント還元は、引き続き獲得可能です。たとえば、楽天カードで決済すれば楽天ポイントは貯まりますし、他のクレジットカードでも通常のポイント還元は受けられます。

変わったのは、ポータルサイト独自の「上乗せポイント」が付かなくなったということです。

本来の目的への回帰

こうした改正は、一見すると「お得感が減った」と感じるかもしれません。

でも、実はこれ、ふるさと納税の本来の目的である「地域貢献」により重きを置くための改正なんです。

過度なポイント競争ではなく、本当に応援したい自治体や、本当に欲しい返礼品を選ぶ。そんな本来の姿に戻りつつあると言えます。

FPとしては、「ポイント目当て」だけでなく、自分の家計にとって本当に必要なもの、価値のあるものを選ぶという視点が、より大切になってきたと感じています。

FPが伝えたい「家計全体最適化」の考え方

さて、ここまで3つの落とし穴と、2025年10月の制度改正についてお伝えしてきました。

これらに共通しているのは、「ふるさと納税を単体で考えている」という点なんです。

私がFPとして皆さんにお伝えしたいのは、ふるさと納税は、家計全体の年間設計に組み込んで考えるべきものだということです。

家計全体で考えるべき要素

1. 他の控除との組み合わせ

  • iDeCo(個人型確定拠出年金)
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 住宅ローン控除

これらの控除を組み合わせて、どう配分すれば最も効果的か。それぞれの控除には特性があります。たとえば、iDeCoは老後資金を準備しながら節税もできる。ふるさと納税は今すぐ返礼品という形で恩恵を受けられる。

優先順位をつけて、バランスよく活用することが大切です。

2. ライフイベントを踏まえた調整

住宅を購入する年、お子さんの教育費がかさむ年、収入が変動する年など、人生には様々なイベントがあります。

住宅ローン控除が始まる年は、ふるさと納税の限度額が下がります。医療費が多くかかった年は、医療費控除との兼ね合いを考える必要があります。

その年その年の状況に応じて、柔軟に調整していく視点が必要です。

3. キャッシュフローへの影響

家計管理で大切なのは、「入ってくるお金」と「出ていくお金」のタイミングです。

ふるさと納税は先にお金が出ていき、戻ってくるのは翌年です。その間の家計に無理はないか、貯蓄目標に影響はないか、といった視点も忘れずに。

「お得だから」と無理をして寄付額を増やすのではなく、家計全体のバランスを見ながら、無理のない範囲で活用することが大切です。

4. 年間スケジュールの作成

できれば、年の初めに「今年の税金対策スケジュール」を作っておくことをおすすめします。

  • 1月〜3月:確定申告、前年の振り返り
  • 4月〜5月:今年の収入見込みの確認、控除計画の立案
  • 6月〜11月:計画的にふるさと納税、医療費の記録
  • 12月:最終調整、ワンストップ特例の申請

こうしたスケジュールを持っておくと、年末に慌てることもなくなります。

まとめ:ふるさと納税を「きっかけ」に

いかがでしたでしょうか。

ふるさと納税は、確かにお得な制度です。でも、落とし穴を知らずに使うと、期待したほどの効果が得られないこともあります。

そして、何より大切なのは、ふるさと納税を点ではなく、線で考えること。家計全体の中で、どう位置づけるかという視点です。

「ふるさと納税を上手に使いたい」と思ったら、それをきっかけに、家計全体を見直してみませんか?

  • 今使っている控除は本当に最適ですか?
  • 将来のライフプランを考えた貯蓄や投資はできていますか?
  • 家計のキャッシュフローに無理はありませんか?

こうした視点で家計を見直すことで、ふるさと納税以上の効果が得られることも多いんです。

もし、「自分の家計ではどうすればいいんだろう?」と不安に感じたら、ファイナンシャルプランナーに相談してみるのも一つの方法です。専門家の視点で、あなたの家計に合った最適なプランをご提案できます。

皆さんの家計が、より豊かで安心できるものになりますように。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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