なぜ人は将来の自分を後回しにしてしまうのか?行動経済学から考える

なぜ人は将来の自分を後回しにしてしまうのか?行動経済学から考える
この記事はだいたい 4 分前後で読めます。

突然ですが、「5年後のあなた自身」って、はっきり思い浮かびますか?

 仕事は変わっていませんか?同じところに住んでいるでしょうか?今と何も変わらないでしょうか?もしかしたら、イメージするのが難しいでしょうか?

 そして、その「未来の自分」のこと、普段はどれくらい意識していますか?

今回は、行動経済学の視点から「なぜ人は将来のことを後回しにしてしまうのか」についてお話しします。

これを知っているだけでも、人生の選択の仕方がちょっと変わってくるかもしれません。

「将来の自分」が他人に見えるらしい

人は誰でも「今」を優先してしまう性質があります。

この傾向を、行動経済学では「現在バイアス(Present Bias)」と呼びます。

たとえば

「健康のために控えないとダメなのに、つい甘いお菓子に手が伸びる」

「老後のための積立は大事だけど、今月は服が欲しいから来月からでいいや」

…こんな経験、ありませんか?

私はあります、毎日あります(笑)なんなら、痩せたいと思っているのに、お菓子を食べながら原稿を書いています・・・

 このように、将来に得られるメリットよりも、今すぐの快適さ、面倒くささの回避、または欲求を優先するのが人間の自然な心理なんですね。

さらに、こんな研究もあります。

 脳科学の実験で、将来の自分のことを考えているときの脳の反応が、「他人」を考えているときとそっくりだったというのです。

 つまり、無意識のうちに「未来の自分」をどこかの誰かのように感じてしまっているのです。他人(将来の自分)のために、今の自分が面倒なことをしたくないですよね。自分が我慢するのはイヤですからね、気持ち分かります。

未来のための行動は難しい

この心理が強く働くと、

「やらなきゃ」と思っているのに、なかなか行動に移せない、

という状況が起こります。

貯蓄、保険、NISA、老後資金、住宅購入などライフプランを考えること

どれも大事だとわかっているのに、先延ばしにされがちなのは、未来の自分への心理的距離の違いからかもしれません。

 行動経済学では、こういった「時間が遠いことへの価値の低下」を「時間割引」といいます。よくある例として、今すぐ100万円を受け取るか、一年後に120万円受け取るか、どちらがいいか選ぶとしたら、多くの人が今すぐ100万円を選びます。年利20%という優秀な成果より、今の100万円になるようです。気持ち分かります。

 これは、ダイエット、禁煙、貯蓄などでも同じようなことが言えます。そして、時間割引の程度は個人差があります。日本人は「なんとかなる」という楽観を持ちやすいとも言われていますが、これは「将来の自分」に対する責任感が曖昧になりやすいという面もあります。

数字で見える未来は、心を動かす

でも、ここで少し視点を変えてみましょう。

私がFP相談などでのライフプラン表やキャッシュフロー表の作成では、

「未来の数字」が「見える化」されます。

すると不思議なことに、それまでぼんやりしていた将来が、急に「自分ごと」になる瞬間があるんです。

たとえば、

「子どもが大学進学になる年、車の買い替えと学費が重なるな」

「住宅ローンの返済と老後資金、どちらにどう配分すればいい?」

など、未来の選択肢が具体的に見えてくると、自然と「じゃあ今どうしようか?」という思考に切り替わります。

これはまさに、将来の自分との“心理的距離”が縮まった状態なんですね。

一人で難しいから、対話が大事になる

 ただ、こうした未来の見える化は、一人ではなかなか難しいのも事実です。感情も入ってきますし、どこまで考えればいいのかも悩みます。ご夫婦で相談する場合も、意見が違うこともありますから、感情が先に出ることもあります。

 だからこそ、第三者との対話が力を発揮します。その第三者はFPがふさわしいと思います。

 数字を整えるだけではなく、「どんな人生にしたいですか?」という問いを一緒に考えながら、「未来のあなた」をじわじわと身近に感じてもらう。

それが私の大切にしている仕事のひとつです。

まとめ

 行動経済学は、人の弱さを前提にしています。お店でのキャンペーン、期間限定、セールなどは、積極的に行動経済学の理論を採用しています。

だからこそ、自分を責めるのではなく、仕組みや環境でカバーしていくという発想が大切です。

未来の自分に少し優しくなれるように、そして今の行動が、未来のあなたを支えてくれるようにしていきたいものです。

私がFPとしてお手伝いできるとしたら、ライフプラン表を一緒に作成することです。

実は近々、「ChatGPTを使ってお金の未来を設計する」という電子書籍も出版予定です。少し前から準備をしていて、6月に出版できればと思っています。

こちらでも、「自分の未来と対話する方法」について詳しくご紹介する予定ですので、どうぞお楽しみに。

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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