NISA・iDeCoは損する?よくある誤解をお弁当で解説

この記事はだいたい 4 分前後で読めます。

「NISAやiDeCoって、損するんですよね?」

相談の前に雑談をしているときに、こんなふうに聞かれることがあります。
最近はテレビやネットでもよく見かけるようになって、「やってみようかな」と考える方が増えてきました。
でも同時に、「なんだか怖い」「損しそう」という不安もつきまとうようです。

正直に言うと、その気持ち、すごくよくわかります。
ただ実は、この「損する」というイメージ、ちょっとした誤解なんですよね。
今日はそれを、「お弁当」に例えてお話ししてみたいと思います。

「このお弁当、まずい」って誰のせい?

ちょっと想像してみてください。

お昼にお弁当を買ったとします。
食べてみたら、味付けが濃すぎて、あまりおいしくありません。

そのとき、きっと「このお弁当、まずいな…」と思いますよね。
でもよく考えると、まずいのは「中身のおかず」であって、「お弁当箱」が悪いわけじゃありません。
お弁当箱は何も悪くない。

当たり前のことなんですが、ここが大事なんです。

実は、NISAやiDeCoを「損する制度だ」と思ってしまうのも、これと同じ構図なんですよ。

NISAやiDeCoは「お弁当箱」です

「NISAやiDeCoで損をする」と思っている方は、「制度そのもの(器)」と「その中で運用する商品(中身)」を、ごちゃまぜにしてしまっているんですね。

整理してみましょう。

お弁当箱 = NISA・iDeCo(制度)
運用益非課税という保温機能がついた弁当箱のように便利な器(制度)です。しかもiDeCoは掛け金が所得控除にもなり、ますます優秀な器なんです。この箱そのものは、あなたのお金を守って、増やすお手伝いをしてくれます。

おかず = 投資信託や株式(商品)
箱の中に何を詰めるかは、あなたが決めます。リスクが高めのものもあれば、比較的安定しているものもあります。

NISAやiDeCoというのは、あくまでも「器」なんです。その中に何を入れるかは、また別のお話です。

たとえば、NISA口座を作ったからといって、必ず株を買わないといけないわけじゃありません。iDeCoも同じで、定期預金みたいな安全なものを選ぶこともできます。

幕の内弁当みたいに、いろんな種類を入れてもいいし、唐揚げ弁当みたいに種類を絞るということもできます。どんな弁当にするのか?どんなポートフォリオにするのか?これは自分で決めることができます。
リスクを取って、リターンを求めるのか、そうではないのか。

つまり、「制度を使う」ことと、「リスクをとる」ことは、イコールじゃないんですね。

じゃあ、何が「損」だと思われているの?

「NISAやiDeCoで損する」と心配している方の多くは、「元本割れ」のことを気にされています。

元本割れというのは、投資した金額よりも、戻ってくる金額が少なくなってしまうこと。確かに、投資信託や株といった商品を選ぶと、相場が下がったときに元本割れすることもあります。

でもこれは、「選んだ商品(中身)」の話であって、「NISA・iDeCoという制度(お弁当箱)」のせいではないんです。

むしろ、同じ商品に投資するなら、税金が安くなるNISAやiDeCoを使ったほうが、普通の口座で投資するよりずっとお得なんですよ。

お弁当で言うなら、「保温機能のあるお弁当箱」を使えば、おかずが冷めにくくておいしく食べられますよね。でも、おかず自体がまずかったら、温かくてもまずい。それだけのことなんです。

FPとして伝えたいこと

私がお伝えしたいのは、この3つです。

1. 制度を使うかどうかと、何を選ぶかは別のこと

「NISAやiDeCoを始める」ことと、「リスクの高い投資をする」ことは別です。制度を使いながら、自分に合ったものを選べば大丈夫です。

2. NISA・iDeCoという器は、税金が安くなる分お得

同じ商品に投資するなら、税金が安くなる器を使わないのはもったいないですよね。どちらも運用益に税金がかからないし、iDeCoだとさらに掛け金が所得控除になるので、その分税金が戻ってきます。

掛け金、投資額の上限は設定されているので、その範囲でということになります。

3. 大事なのは「中身をどう選ぶか」

制度を使うかどうかを決めたら、次は「何を選ぶか」を考えましょう。自分がどれくらいリスクをとれるか、いつまで運用するか、何のために貯めるのか。そういうことに合わせて商品を選ぶことが大切です。

まとめ

「NISAやiDeCoで損をする」という誤解は、制度そのもの(お弁当箱)と、その中で選ぶ商品(おかず)を、ごちゃまぜにしてしまっているから生まれるんですね。

お弁当がおいしくなくても、お弁当箱が悪いわけじゃありません。同じように、投資で損をしたとしても、それは選んだ商品の問題であって、NISA・iDeCoという制度のせいではないんです。

制度そのものは、税金が安くなるという大きなメリットがあります。大切なのは、その器の中に何を入れるか。つまり、どんな商品を選ぶかなんです。

もし「自分はどんなお弁当を詰めたらいいのかな?」と迷ったら、無理のない金額から始めてみたり、専門家に相談してみるのも安心ですよ。

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

TOPへ