卒業祝いでNISAデビュー。親が手伝える範囲と最初の資金の渡し方

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卒業祝い、進学祝い、就職祝い。節目のタイミングで、お祝い金として「まとまったお金」を子どもが手にする機会があると思います。
親だけでなく、祖父母や親戚(おじ・おば)からもいただいて、合計すると意外と大きな金額になることもありますよね。
このお祝い金の使い道をどうするかで、その後の家計やお金の価値観がガラリと変わるかもしれません。

生活費に消えるのが悪いわけではありません。趣味で使ってもいいかもしれません。もしかしたら、知らないうちに無くなってしまうお金になるかもしれません。

「せっかくなら投資のきっかけにしたい」と相談を受けることもありますし、そう考える親も増えているだと思います。

今回は、親がどこまで手伝っていいか、そして投資のスタートをどう設計するといいかを、卒業祝いのNISAデビューとして整理します。

まず確認:NISA口座は卒業したら誰でもすぐではない

現行の新NISAは、口座を開設できるのが原則として 「その年の1月1日時点で18歳以上」です。
つまり、卒業時点で18歳でも、その年の1月1日に17歳なら、その年はNISA口座は作れません(翌年から対象)。ここ、うっかりポイントです。

2027年以降は、税制改正の中で 、0〜17歳向けのこどもNISAが導入予定(見込み)という情報も出ています。
ただし、詳細については今後アップデートされるので、金融庁や金融機関の最新情報を確認することをおススメします。

親が「やっていい手伝い」と「やらない方がいい管理」

卒業祝いのNISAデビューで一番大事なのは、じつは銘柄選びよりも 親子の距離感になると思います。

やっていい:手続きの伴走(子ども本人が主役)

口座開設は、本人にとってつまずきポイントが多いです。アプリのログインより断然面倒です。
本人確認、マイナンバー、銀行連携、アプリ設定、二段階認証・・・、ここは親が横にいて「一緒に確認する」のは大きな助けになります。

やらない方がいい:ログイン情報の親管理、売買の主導権

一方で、よくあるトラブルの種が「親が全部管理してしまう」ことです。
口座は本人名義、資産も本人のものです。親がログイン情報を握って売買まで口出しすると、揉めることになりそうです。

親がやるべきは「代わりに運用する」ではなく、きっかけを作って、仕組みを整えて、主導権は本人へ戻す。これが安全で、健全です。

卒業祝いの投資スタートまでを設計する

ここから、実際に投資が始まります。私は「銘柄」より先に、最低限この3つのルールを決めることをおすすめしています。

ルール①:目的(何のため?)

  • 10年以上先(将来の選択肢を増やす・資産形成の土台づくり)
  • 数年以内(車、留学、引っ越しなど)
  • 使途未定(まずは習慣づくり)

目的は決まっていなくてもOKですが、いつ使う可能性があるかということを考えておくといいですね。とにかくお金を増やしたい!だけで走ると、いろいろブレて、迷子になりやすいですよね。

ルール②:期間(触らない期間を決める)

卒業祝いでNISAを始めるなら、私はまず「触らない期間」を決めておきたいと考えます。
たとえば「3年は基本放置」「10年は原則売らない」などです。ここを決めないと、少し下がっただけで不安になって売却して、投資の世界から退場してしまうかもしれません。それは避けたいです。

ルール③:分割で投資でする

私は、トラブルが少ないのは 分割投資だと思っています。

例えば、お祝い金として10万円を渡す場合、一括投資も可能ですが、1万円を10回分割で投資をするということです。

大学生活や、仕事が始まるという生活が変化するタイミングでは、一括投資は心理的に重くなるだろうと思います。そして、分割投資は「投資を続ける練習」にもなります。

お祝い金の渡し方を分割にするという方法もありますね。「お祝い金は10万円、これはNISAで投資をしよう」という話は決めておいて、例えば1万円を10回に分割して渡すのもいいですよね。

きっかけの価値:投資が世界を見る入口になることがある

投資に興味がなかった子でも、最初の一歩だけ きっかけがあると、見える景色が変わることがあります。
少額でも投資を始めると、円安・金利・インフレ・企業決算といったニュースが「ふーん」とスルーではなく、「自分に関係あるかも」に変わるのではないかと。

だからと言って、親の価値観を押し付けるのは違います。

  • 仕組み(設定・自動化)はサポート
  • でも、運用の主導権は子ども本人に戻す
  • 親は伴走するだけ

このことは意識しておいてほしいなと思います。いろいろと言いたくなると思いますが、そこはぐっと抑えましょう。

ちなみに、親であるあなたがもし投資をしていなかったとしても、これはチャンスです。子どもの口座開設をきっかけに、親も自分の範囲で一緒に始めるのもいいと思います。
「今月はどうだった?」「ニュースの円安ってこういうことか」みたいに、共通の話題が増えることになります。経済や社会の変化が、少しずつ自分たちの生活とつながって見えるようになると思いますよ。

大事なのは、親が先生になろうとしないことです。同じ目線で、少額から一緒に学ぶくらいがちょうどいいと思います。
そういう意味では、親が完璧に理解してから始める必要はありません。ガンガン儲かって成功している必要もないと思います。むしろ「分からないことを一緒に調べる」経験自体が、子どもにとっては価値になります。

18歳未満だったらどうする?(現行ルール下の現実解)

卒業する年の1月1日に17歳で、当年はNISA口座が作れない場合でも、投資そのものを一年待つ必要はありません
卒業時点で18歳でも、誕生日によっては当年のNISA対象外になることがありますが、だからといって何もしない一年にするのはもったいないような気がします。

そこで、待つか待たないか提案することは、次の2つです。

  • ① 置き場を分けて待つ
    お祝い金を生活費と混ぜないように「待機口座」に分けておくといいと思います。そして、翌年NISA口座が開設できるタイミングで、ルールを決めてスタートします。
  • ② 課税口座(未成年口座・特定口座など)で少額から始める
    当年は課税口座で、少額の積み立て投資をきっかけとして始める。そこで投資の習慣(触らない・見ない頻度・積立)を作っておき、翌年にNISAへ移すということもアリだと思います。

もちろん課税口座は利益に税金がかかるので、NISA口座のように非課税メリットはありません
それでも、卒業祝いの価値は「利回り」だけではありません。少額で始めてみることで、経済やニュースが少しずつ自分ごとになる。親子でルールを作る。そういう意味で、課税口座でスタートしてもいいと思います。

大事なのは、どのルートでも「生活費と混ぜない」「親が管理しすぎない」「目的と期間を決める」の3つです。
制度に合わせて最適な段取りは変わるので、迷ったら一緒に整理しましょう。

まとめ:卒業祝いを資産の種にする鍵は、親子ルール

卒業祝いにNISAデビューは断然「あり」だと思っていますし、積極的に提案したいところです。
ただし、成功のカギは銘柄選びよりも、

  • 親が手伝う範囲を決める
  • 投資は分割などで無理なく
  • 触らない期間を先に決める
  • きっかけは作るが、主導権は本人へ戻す

親はサポートはするけど、あくまでも本人が投資をすることです

お祝い金が溶けてなくなる前に投資をスタートするのは、もしかしたら最高のお祝いになるのでは?と思います。
迷ったり、子どもにうまく話が出来ないと思ったら、いつでも相談してください

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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