年末調整だけで終わらせない、かしこい「控除」の使い方

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年末調整は「手続き」ではなく「気づき」のチャンス

年末が近づくと、会社から配られる封筒を見て「そろそろ書かないと…」と慌てる人も多いと思います。
生命保険料控除のハガキを探して、慌ただしく提出して、間に合った~と一息つくというアレ。
「会社がやってくれるから大丈夫」と安心してしまうアレ。

でも、ほんとうに「年末調整」は、それで終わりにしていいのでしょうか?

年末調整は、会社が税金をあなたの代わりに計算してくれる仕組みです。
だから便利ではあるけれど、それはあくまで調整だということです。

この書類、じつはあなたの人生設計の一部が詰まっています。
生命保険料控除の欄を見てみましょう。
今の保障内容は、あなたのライフステージに合っていますか?
iDeCoの掛金は、老後資金の流れとリンクしていますか?

毎年なんとなく提出している紙を、
「今の自分のお金の姿を写す鏡」として眺めてみる。
その視点を持つだけで、年末調整が「手続」から「気づき」に変わります。

控除の種類より、控除の目的を整理する

控除という言葉を聞くと、「節税になる」「お得だからやっておこう」と考える方が多いですよね。
でも、控除は得をするためではありません。
本来は、「国が応援したい行動」に対して用意された仕組みです。

たとえば──

  • 生命保険料控除:家族を守るための備えを応援する。
  • iDeCo掛金控除:自分の老後を自分で整える努力を応援する。
  • 医療費控除:健康と家計のリスク管理を支え、応援する。

どれも「応援」という言葉でつながります。
だからこそ、控除をどう使うかは、どんな生き方を選んでいるかと深く関係しているんです。

目の前の数字だけを見るのではなく、
「なぜ私はこの控除を使っているのか?」
そう問いを立てることで、お金の使い方に軸が生まれます。

年内にまだ間に合う「控除の再チェックポイント」

12月は、控除を整える最後のチャンスです。
少し立ち止まって、自分の選択を見直してみましょう。

  • iDeCo:掛金を少し増やすと控除額もアップ。12月拠出分までが今年の対象。
  • ふるさと納税:上限額を確認して、まだ余裕があれば使い切りも。
  • 医療費控除:世帯の医療費が10万円を超えそうなら、領収書を整理しておきましょう。確定申告で使います。
  • 生命保険控除:控除証明書を機に、今の保障内容を点検してみる。

こうした行動は、単なる節税テクニックではありません。
「自分の暮らしを整える小さな選択」です。
控除をお金の仕組みではなく、暮らしの習慣として見つめ直す。
それだけで、年末の過ごし方が少し変わってきます。

ふるさと納税は節税ではない

今回のブログテーマの本筋から少々外れますが、ふるさと納税について触れておきます。

ふるさと納税は節税というより、住民税前払いの仕組みです。
つまり、翌年の住民税を今年払うという、支払うタイミングを変えているにすぎません。

そうはいっても、ふるさと納税の返礼品は楽しみのひとつですよね。
お米が欲しい、シャインマスカットや牛肉が欲しい――それも立派な理由になると思います。

でも、忘れないでほしいのは、ふるさと納税の本質は自分の納税先を選べることなんです。
返礼品はそのおまけのような存在です。

だからこそ、『おいしいものをいただきながら、納税先も選べる』という二重のメリットを意識すると、納得感が高まります。
節税のためだけではなく、自分の意思でお金を使う選択肢として考えると、ぐっと有意義になるんです。

ふるさと納税は年末調整に直接関係は無いですが、このタイミングで考えてみるのもいいですよね。

「節税したい」から「整えたい」へ

節税という言葉には、減らすという響きがあります。
でも、家計を前向きに変えていくために必要なのは、
「減らす・増やす」よりも、「整える」という視点です。

控除は、あなたの選択を写します。
どんな保障を選び、どんな積み立てをして、何を優先しているのか。
その積み重ねが、あなたの人生設計そのものをつくります。

お得を追うより、納得を積み重ねる。
それが、かしこい控除の使い方になります。

年末調整を毎年恒例の税金のイベントではなく、家計のリズムを整える行事としてとらえると、
お金との付き合い方が、少しやさしく変わります。

年末調整を出して終わりではなく、見直して始まりに

年末調整は、ただの手続きではありません。
自分の選択を見直し、来年の家計を整えるための大切な時間です。

書類を提出したあとに、ほんの少しだけ立ち止まってみてください。
「この控除は、私のどんな人生を応援してくれているだろう?」

その問いが生まれた瞬間、
年末調整は終わりではなく、始まりに変わります。

お金のことを考える季節に、
あなたの家計にもやさしい問いをひとつ、置いてみてください。

まとめ

今年も終わるという空気感が出てくる年末調整。ただの面倒な手続きでは終わらせないでください。

2025年の所得税の調整は終わりますが、すぐに2026年が始まります。

2026年の年末調整のときには、「2025年の終わりにいろいろと考えて、整えておいて良かったな・・・」と思えるようにしておきましょう。

誰かに話を聞いてみたいと思いましたら、初回相談は60分1000円です。お気軽にどうぞ。

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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