金利が上がってきた今、住宅ローンをどうする?これからの選択を考えよう

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最近、こんな声を耳にすることが増えました。

「やっぱり、あのとき全期間固定にしておけばよかったかな…」
「変動金利、これから上がったらどうしよう」

SNSや雑談のなかでも、こうしたつぶやきが増えてきた印象です。
「あの時の判断って、今の金利が上がってからしか評価されないんですよね」
これは、本当にそう。金利上昇がいつ頃、どの程度という予想は出来ていませんでした。

でも最近、専門家っぽい人が「ほら、あの時に固定にしておくべきだったんです」と、
いかにも私は言ってましたよとばかりに投稿しているのを見ると、
つい「それ、今だから言えるでしょ」とツッコミたくなる気持ちになります。笑

とはいえ、私・福田も、じつはその「言ってた側」でした。いやいや、本当に。笑

FPとして独立した10年前、当時はフラット35の金利が1.5%前後(返済期間21〜35年・融資率9割以下)。
私は「全期間固定なら、今が底では?」と話をしていました。※このあと翌年に1%を切るぐらいまで下がります

でも現実には、銀行の住宅ローンは固定期間選択型などで0.5%を切る金利もありました。
そちらを選ぶ方が圧倒的に多かったです。

金利が1.5%と0.5%。
たった1%の差でも、月々の返済額は約2割違ってきます。
たとえば「毎月8万円」と聞いていたのに、固定にすると「9万円超えます」と言われたら、
気持ちが揺れるのは当然です。私も、相談者さんの迷いにたくさん寄り添ってきました。

という、思い出話はこれぐらいにして、2025年の話をしましょう。

もちろん過去を振り返って学ぶことは大切ですが、
「あのときの正解」よりも、「これからの納得」を考える方が、今の私たちには必要です。

金利はじわじわと、でも確実に動いています

平成の終わりごろは、異常なくらいの超低金利時代でした。
住宅ローンを借りる側にとっては、ある意味、夢のような環境だったかもしれません。
でも今、その風向きが少しずつ変わってきています。

最近は、10年固定や全期間固定の金利が上昇し始めています。
これは、主に「10年国債の利回り」が上昇している影響です(※詳細は省きますが、金融市場が「金利を上げそうだ」と判断しているときに起こります)。

一方、変動金利は「政策金利」に影響を受けます。順番を伝えると、政策金利の影響を受ける短期プライムレートに連動して住宅ローン金利が決まります。

政策金利➡短期プライムレート➡住宅ローン

こちらも、将来的な利上げ観測がじわじわと広がっており、今後の動きには注意が必要です。

つまり、固定も変動もこれまで通りとはいかない局面に入ってきています。
これは住宅ローンの組み直しや、借り換え、繰上げ返済を考えるタイミングに来ているというサインでもあります。

「今の金利」をどう受け止める?判断のヒント3つ

① 残りのローン期間と金額

あと5年で完済できる人と、これから30年払っていく人では、受ける金利リスクがまったく違います。
支払い期間が長いほど、将来の金利上昇リスクはじわじわ効いてくることに注意が必要です。

② 家計のバッファがあるか

金利が1〜2%上がったとしても、ある程度のゆとり(バッファ)がある家庭もあれば、
少しの負担増で苦しくなってしまう家庭もあります。
この「耐えられるかどうか」は、金利選び以上に大切なポイントです。

③ メンタル面の安心感

金利の動きにドキドキしながら暮らすのがイヤ、という方もいますよね。
「変動で得をしたい」より「固定で安心したい」という気持ち、わかります。

今からできる、3つの選択肢

選択肢①|繰上げ返済で「変動リスク」を減らす

期間短縮型で繰り上げ返済をすることで、毎月の返済額は変わらなくても、借入期間が短くなれば、金利の影響を受ける年数も減ります。
少しずつでも元本を減らすことで、家計の将来リスクを小さくすることができます。

選択肢②|固定金利への借り換えを検討する

今より少し金利が上がってしまっても、「この先ずっとこの金利」と決まる安心感は大きなもの。
借り換えには手数料や事務コストがかかるので、トータルでの費用負担と心の安定の両面で考えるとよいでしょう。

選択肢③|借りながら運用という選択肢もある(ただし慎重に)

これは「住宅ローンは変動のまま、余剰資金はNISAなどで資産形成」という考え方です。
確かに、借入金利が1.0%、投資の利回りが4.0%とすれば、差益が得られる可能性はあります。

ただしこれは、相場の波やリスクを理解したうえでの選択です。
途中で大きな下落が来ることもあるし、「投資の運用がうまくいかない時期に、金利は上がる」なんてことも現実に起こり得ます。
選択肢としては存在しますが、最優先ではありません。万人向けの答えではないということは、ぜひ覚えておいてください。

「どうすれば損をしないか」より、「どうすれば安心して暮らせるか」

住宅ローンって、つい損得で考えたくなるんですよね。
でも、お金のことって、いつも正解がひとつとは限らないのです。

だから私は、こう思っています。

「どうすれば損をしないか」より、「どうすれば安心して暮らせるか」を基準にしてもいい。
住宅ローンは、お金の話でもあり、暮らしの話でもある。

たとえば、月々の返済が多少増えても、気持ちが落ち着くなら、それが「正解」
将来の金利にドキドキせずに暮らせるなら、それが「安心」

数字だけでは測れない「納得感」も、住宅ローン選びではとても大切な軸なんです。

ChatGPTにチラッと聞いてみるのもアリ

最近では、「ChatGPTに“変動と固定、どっちがいい?”って聞いてみたら、けっこう参考になった」
という声も増えてきました。

もちろん最終判断は自分自身ですが、自分の軸を確認するきっかけとしては、とても良い使い方だと思います。

まとめ:過去を悔やまず、「これから」を選ぶ

金利が上がり始めた今、焦りや不安を感じるのは自然なこと。
でも、そこで「正解探し」に迷い続けるよりも、「自分にとっての納得感」を見つける視点が大切です。

  • 完璧な選択より、後悔しない選択
  • 他人の声より、自分のライフスタイルに合った判断
  • 得するかより、安心して暮らせるか

それが、住宅ローンをめぐる本当の選び方なのかもしれません。

🔸住宅ローンの見直しや借り換え、繰上げ返済の判断など、
「ちょっとだけ話を聞いてほしい」というタイミングでのご相談も歓迎しています。

🔹初回相談(60分・1,000円)では、家計やライフプラン全体を踏まえてお話をすることができます。
「ChatGPTと相談する」ような気軽さで、お話しできたらうれしいです

Wrote this article この記事を書いた人

福田 智司

▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております

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