良い投資信託教えて?にどう答えるか 福井のFPが解説

何か欲しいもの、必要なものがあれば、ネット通販ですぐに購入できます。カスタマレビュー、口コミなどを参考にすることもできるので、ネットで大きな失敗もなく買い物ができます。
通販サイトで価格が違うこともあり、いろいろと比較をしながら、自分の欲しいものを購入していると思います。

それでは、投資信託はどうでしょうか?

ネット証券会社の保有顧客数は2016年の84万人から格段に増加して2020年には278万人と3倍になりました。
大手証券会社に迫る勢いですが、大手証券会社、主要行、地域銀行を合計すると693万人あるので、まだまだアナログ的な様相です。

※金融庁「投資信託等の販売会社に関する定量データ分析結果」より抜粋

とにかく投資信託は分かりにくい

投資信託など金融商品は「形」がありません。触れないし、見えないし、お試しということもありません。家電や自動車のように実際に確認することは困難です。

形の無い投資信託は、「目論見書」「月次レポート」を読み込むことで理解することになります。家電や自動車のパンフレットの役割です。

実際に目論見書を見てみると分かりますが、何が書いてあるのか分かりにくい・・・
消費者目線というより販売者目線と言えるようなものに仕上がっています。さらに言うと、免責事項が記載されており、もしかしたらそちらがメインではないかと考えてしまいます・・・と誰かが言っていたような・・・と私もその業界にいるので伝聞という体裁にしました。

ただ、目論見書を読むことが必要なのは本当で、ぜひとも読み込んでいただきたいと思います。

お勧めされたら「買い」でいいのか?

目論見書は読むのが面倒だし、何か良い投資信託教えてよ!と言いたくなるのは分かります。ここで少し考えてほしいのは、「あなたにとって良い投資信託」が何か?ということです。

例えば、引っ越しを検討しているとします。どの辺に住みたいのか?1LDKのマンションなのか?戸建てなのか?いろいろと希望はあるはずです。

「良い物件はありますか?」と聞いて、販売担当者に海外の投資マンションを勧められて購入することがありますか?ということです。

「なにか良い投資信託ある?」と私が聞かれたとしたら、「良いのはあるけど、あなたにとって良いかどうか分かりません」という回答になると思います。どんな目的で、どの程度の運用期間を考えていて、予算はどのくらいかなどの条件で変わってくるからです。

ネット上でもお勧めの投資信託が出てきますし、なんなら「これ一択!」みたいな言い方の動画も出てきます。確かにパフォーマンスが良い投資信託かもしれませんが、それに引っ張られ過ぎて、他の投資信託を検討できないことが心配です。

結局、何が言いたいかというと

誰かのお勧め、ネットで見た、みんな言ってる、という情報で、即購入はちょっと待ってください。

投資信託を販売している人に相談したとして、その担当者があなたの事情や考え方を聴かずに投資信託をお勧めしてきたら、それは立ち止まった方が良いと思います。そこまで「良いお客さん」にならなくていいですよ。

あなたにとって良い投資信託とは?

どのような商品でもブームがあります。

投資信託でもブームがありました。誰もが購入していたと言っても良いくらいの投資信託、毎月分配型で1997年生まれの大スターがいました。今ではすっかり日陰の存在です。

今では下火になった毎月分配型の投資信託ですが、人によっては有効になることもあります。若い人がこれから積み立てていこうという相談の場合は、あまりお勧めする場面は無さそうですが、高齢者で毎月取り崩していくのが大変な人には向いている投資信託と言えます。「あなたにとって良い投資信託」は、人それぞれだということです。

あなたのニーズに合っているのか、あなたのスタンスに合っているのか、この辺りをしっかり考えることができると大きくズレることは無いと思います。

「とりあえず投資信託を購入して、投資の世界へいこう」という感覚で飛び込むことはやめてください。しかも、みんな言ってるという程度の情報で飛びつくのもやめてください。その先は「後悔」になるのではと心配になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

良い投資信託は、「あなたにとって」どうか?ということです。

ですから、お勧めの投資信託はこれだ!と無責任に言えません。

あなたのスタンス、ニーズ、目的など、投資に対する考え方をから検討することで、「あなたにとって良い投資信託」が見えてくると思います。

形の無い金融商品「投資信託」の輪郭を作る作業が、ファイナンシャルプランナーの役割だと考えています。その輪郭を作っていくことで、投資信託の形が見えてくるのだと思いますよ。