子どもがお金の主導権を持ち始めると、親は先回りしてあれこれ言いたくなる。
そして子どもは「干渉された」と感じて、話を避けるようになる。これ、よくある構図です。
今回想定しているのは、バイトや仕事で自分の収入を持ち始めた大学生〜20代前半の子どもです。
仕送りや学費、実家住みといった親の支援も残ることが多いので、親は心配しますし、子どもは自由が欲しい。ここが噛み合わないと、会話がこじれます。
でも、お金の話って「正しいことを言えば伝わる」わけじゃないんですよね。
むしろ正論ほど刺さるし、ぶつかります。だから今日は、言い方ではなく聞き方を整理します。
お金の話は正しいほど揉める
親が言いたいことは、だいたい正しいです。
- 貯金はあった方がいい
- クレカの使いすぎは危ない
- 収入より支出が増えると破綻する
まあ、その通りですよね。でも、正しさをストレートにぶつけると、子ども側には「否定」に聞こえやすくなります。
「自分はちゃんとやってるのに」「信頼されてない」みたいに感じると思います。
そして親は
「いや、心配してるだけなのに…」
子どもは
「もうウザい。言わないでほしい。」
このすれ違いが続くと、一番損なのは「相談がなくなること」です。
本当に危ないのは、失敗そのものより話せない関係なんです。
揉める原因は3つ
① 正論が評価に聞こえる
「無駄遣いするな」→「だらしないと言われた」
「ちゃんと貯蓄しろ」→「今の生き方を否定された」
こうズレると、内容以前に感情が止まります。私の20代前半はお金を使い切る生活をしていて、その反省を踏まえて子どもに伝えるのですが、伝わり方によっては評価するように聞こえるのだと思います。
② ゴールが違う
親は「安心させてほしい」
子どもは「任せてほしい」
ゴールが違うまま話すと、どっちも正しいのに、噛み合いません。
③ 数字の話がコントロールに見える
家計の数字は大事なのは間違いないし、親子とも大事だと思っているはずです。でも、言い方、聞き方を間違えると、
「管理される」「詮索される」に変換されます。
ここが一番デリケートなんだろうと思います。
言わない方がいい言葉3つ
ここ、親が言いたくなるワードです(笑)。でも、たいてい逆効果。
①「だから言ったのに」
もし、今月の支払いが厳しい状態になったとき、親は言いたくなります。
「だから言ったのに」
子ども側は「責められた」で終わります。
言い換えるとしたら、
「どうしたら次はラクになると思う?」。
②「無駄遣いするな」
無駄の定義が人によって違うので、揉めます。これは親子でなくとも夫婦でもあります。私は無駄と思ってないけど、妻から見ると無駄遣いになることはありますよね。
言い換えるなら、これは無駄だと判定せずに事実の確認だけしましょう。
「今月、少しでも残せてる感じある?」
まずは収支がうまいこといっているならOK、お金が残っているならOKとします。もし、残せてないとしたら、「なにが負担になってるの?」を一緒に確認すればいいのです。
これだと、責めているようにはならないと思いま
③「普通はこうだ」
これ、説得力があるようで、結果的にただ責めているように聞こえやすい言い方です。
普通って何?、どのデータ?ってなりますし、自分は普通じゃないと思われているのかと感じます
言い換えるなら、正しさで押すのではなく、主導権を相手に戻す会話にします。たとえば、こんな感じです。
「私はここが少し心配なんだけど、あなたはどうしたい?」
そのうえで、こちらの希望を伝えるなら、丸投げにしないよう、選択肢を提案するのはいかがでしょう。
「今できそうなのは、A(例:サブスクを一つ減らす)とB(例:月末に少しでも残す)、どっち?」
普通を振りかざすより、「心配している点」と「次の一手」を共有するほうが、会話は前に進みやすくなります。
聞くべき質問3つ(会話が前に進む)
親子のお金会話は、命令より質問が強い。
質問は、主導権を相手に残せるからです。
質問①「今、何が不安?」
最初に感情を聞くと、会話が荒れません。
「何が不安?」と聞くと、子どもは言語化し始めます。
- クレカの請求が怖い
- 生活費が足りない月がある
- 友達付き合いで出費が増えた
- 奨学金の返還が気になる
不安が分かると、対策が具体になります。
質問②「毎月、固定で出ていくお金っていくら?」
固定費は、家計の土台です。
ここが分かると「今月ピンチ」の原因が見えます。
家賃、スマホ、サブスク、保険、学費の分割、交通費などなど
全部を完璧に把握しなくてOK。まずは概算で十分です。
質問③「いつまでに、何をしたい?」
ここで初めて、目的の話をします。
- 半年後に引っ越したい
- 1年後に留学したい
- とりあえず生活を安定させたい
- 結婚を考えている
期限と目的が出ると、貯蓄・支出・働き方の優先順位が決まります。
すぐ使える「親子お金会議」テンプレ
時間を決めるのがコツです。長いと揉めます。
①最初の一言(宣言)
「今日は説教じゃなくて整理だけ。10分で終わろう。」
これだけで空気が変わります。
②質問は3つだけ
- 今、何が不安?
- 固定費、だいたいいくら?
- いつまでに何をしたい?
③次の一手は1つだけ
改善策を3つ出すと多すぎて、子どもは動けなくなります。
次の一手は1つ。たとえば、
- 引き落とし口座を整理する
- サブスクを一つ解約する
- 週予算を決める
- 貯蓄用の口座を別に作る
「これだけやる」を決めたら終了です。
これが続く会議です。
親は先生にならない。伴走の距離感で
親が「正解を教えたくなる」のは愛情です。おそらく笑
でも、子どもが主導権を持ち始めた時期は、教えれば教えるほど反発されがちです。
だからおすすめは、先生ではなく伴走という距離感。
- 口座やアプリを勝手に触らない
- 数字を詰めない(まずは概算でOK)
- 質問で前に進める
- 最後は「決めるのは本人」を守る
この距離感があると、相談が途切れません。
私も多くの失敗をしてきてますから、先回りして教えたくなります。それだと、子どもを私の型にはめるだけになりがちなので、避けたいところです。正解を教える先生にならないように意識しています。
まとめ:話せる関係が、結局いちばん強い
親子のお金の話は、正論で勝つゲームではありません。
続くのは、話せる関係です。
- 言わない方がいい言葉を減らす
- 聞くべき質問を3つ持つ
- 10分で終わるテンプレで回す
- 親は先生にならず、伴走する
これだけで、親子のお金の会話はかなりラクになります。
もし「うちの場合、どこから手をつけるのが全体最適?」と迷ったら、収入の安定度・固定費・保障・制度も含めて整理するとスッキリします。必要ならいつでもご相談ください。
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子どものNISAデビューのその後、下がったときに親ができること
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Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております