金融教育の未来 2022年金融リテラシー調査結果から考える

2022年7月に、金融広報中央委員会の「金融リテラシー調査2022年」の調査結果が公表されました。

そして、11月には「資産所得倍増プラン」からの「NISAの拡充」へと、資産運用を避けては通れない未来が見えてきました。

これからの金融教育はどのようになっていくのか考えてみようと思います。

金融リテラシー調査とは

日本における個人の金融リテラシー(お金の知識・判断力)の現状を把握するための調査です。2016年から3年ごとに調査しており、2022年は3回目。調査の主体は、金融広報中央委員会です。

全国で30,000人に対して、インターネット上でアンケートしています。1回目、2回目は25,000人を対象にしていたので調査規模は拡大されています。全国で調査するのですが、各都道府県では国勢調査による比率でなされています。ちなみに私が住んでいる福井県は全国の0.6%となっています。

調査はアンケート形式ですが正解があるものです。正答率は55.7%となっています。半分以上は正解している!と安心するわけにはいきません。まだまだ低いと感じます。3年前の前回は56.6%の正答率でしたので少し下がりましたね・・・

金融リテラシー調査2022年の結果

結果は上記リンクから見ることができます。その中から金融教育について考えてみたいと思います。

金融リテラシークイズ!

ここで、クイズに挑戦してみましょう。5問ありますので考えてみてください。

さてさて、あなたは何問正解するでしょうか?問題のすぐ下に回答があります。

【第1問】
家計の行動に関する次の記述のうち、適切でないものはどれでしょうか
① 家計簿などで収支を管理する
② 本当に必要か、収入はあるかなどを考えたうえで、支出をどうするか判断する
③ 収入のうち一定額を天引きにする方法により貯蓄を行う
④ 支払いを遅らせるため、クレジットカードの分割払いを多用する
⑤ わかない

 

【第2問】
一般に「人生の3大費用と言えば、何を指すでしょうか
① 一生涯の生活費、子の教育費、医療費
② 子の教育費、住宅購入費、老後の生活資金
③ 住宅購入費、医療費、親の介護費
④ わからない

 

【第3問】
金利が上がっていくときに、資産の運用(預金等)、借り入れについて適切な対応はどれでしょか。
① 運用は固定金利、借り入れは固定金利にする
② 運用は固定金利、借り入れは変動金利にする
③ 運用は変動金利、借り入れは固定金利にする
④ 運用は変動金利、借り入れは変動金利にする
⑤ わからない

 

【第4問】
10万円の借り入れがあり、借入金利は複利で年率20%です。返済をしないと、この金利では何年で倍になるでしょうか。
① 2年未満
② 2年以上5年未満
③ 5年以上10年未満
④ 10年以上
⑤ わからない

 

【第5問】
金融所品の契約についてトラブルが発生した際に利用する相談窓口や制度として、適切でないものはどれでしょうか。
① 消費生活センター
② 金融ADR制度
③ 格付け会社
④ 弁護士

 

さて、いかがでしょうか。簡単でしたか?

 

金融リテラシークイズの回答

それでは、正解と正答率をを発表します

【第1問】④(51.8)
【第2問】②(46.2)
【第3問】③(43.4)
【第4問】②(40.8)
【第5問】③(70.8)

あなたは何問正解しましたか?正答率は低いと感じましたか?

私としては、やはり金融教育が必要なのだと感じました。私自身も不足していると言いますか、わかっていてもできていないところはありますので、まだまだ知識を付けること、伝えることが重要だと感じます。

金融教育の現状は?

このアンケートのなかに、金融教育についての設問があります。

● 在籍した学校、大学、勤務先において、生活設計や家計管理についての授業などの「金融教育」を受ける機会はありましたか。(1 つだけ)【必須入力】
1. 受ける機会はあったが、自分は受けなかった 1.8(1.8)
2. 受ける機会があり、自分は受けた 7.1(7.2)
3. 受ける機会はなかった 75.7(75.0)
4. わからない 15.4(16.0)

回答にある数字は回答者の割合で( )内は前回の割合です。

日本において金融教育はそもそも受ける機会が無いようです。たしかに、私も金融教育を受けていません。

●生活設計や家計管理等の「金融教育」は、学校で行うべきと思いますか。(1 つだけ)【必須入力】
1. 思う 71.8(67.2)
2. 思わない 8.8(11.3)
3. わからない 19.4(21.5)

このような結果となります。

金融教育を受ける機会は無い、でも行うべきである

アンケートによると、金融教育は受けた方が良いけど、そのような機会が無いとう現状です。

高校では金融教育が取り入れられており、これからの大学生、社会人はある程度の金融知識を持つことになります。今回3回目の金融リテラシー調査でしたが、あと数回後には正答率が上昇することになりそうです。

まずは高校から始まった金融教育ですが、段階的に小学校からスタートできる機会を作ることができると、日本大きな変化が生まれると思っています。キャリア教育は小学校・中学校に広まっていると思います。PTAの立場からもそう見えます。次は、金融教育になってくることを期待します。

そして、ご家庭での金融教育も大切になってきます。お年玉やお小遣いを貯めているお子さまもいると思いますが、と言いますか、貯めておきなさいと親が言うのかもしれませんが、果たしてそれでいいのか?ということです。小学校の高学年からは投資の外観を見せることができるといいなと考えています。お子さまが好きなゲーム会社や好きな食品会社などの株式を研究するのも楽しいのではないでしょか?

東京証券取引所、証券会社、銀行などでも、金融教育のツールを持っているところがあります。ファイナンシャルプランナーも授業をすることができます。私も所属している日本FP協会でも、そのような取り組みをしております。

金融教育が必要だと思われている状況に、業界も追いつき始めています。行政も柔軟に対応する体制ができれば、大きく進むことができます。

 

金融教育は始めやすい

2022年11月に、岸田政権より「資産所得倍増プラン」が発表されました。

その中で、金融教育についても触れられています。大人向けの金融教育です。

それは、企業の取り組みです。

会社が従業員向けに金融教育の機会を提供するということです。

これは、企業型確定拠出年金を導入している企業から、実際に始まっています。

企業型確定拠出年金を導入する企業は、従業員向けに投資教育の機会を提供する義務があります。投資教育については制度と投資商品の理解を進めることを主題として、家計や老後などもカリキュラムに入れることが大切だと考えています。

 

金融教育とFPは相性が良い

金融教育は自社商品のPRにならないようにする必要があります。

そういう意味では、ファイナンシャルプランナーが適任となるでしょう。利害関係がなく、金融商品を販売するわけでもなく、小学生・中学生・高校生の後ろにいる保護者向けのチラシを配るでもないファイナンシャルプランナーが適任なのだと考えます。

児童・生徒向けにキャリア教育、社会人向けにセミナー講師を経験している私福田は、なかなかの適任者ではないでしょうか(笑)

まとめ

金融リテラシー調査から、金融教育を考えてみました。

アンケートの中には、その問いを間違えるのか?と心配になる設問もありましたね、皆さまはいかがでしたでしょうか?

投資詐欺のニュースも何度も見ています。今の世の中を反映しているのですが、それでも投資詐欺を回避できる人もいます。皆さまも回避できる側になるよう金融知識を高めていきましょう。

2023年は資産運用のリスタートの年になりそうです。スタートしている人も多くいらっしゃいますが、ブーストがかかってリスタートになりそうです。

なんでも飛びつかずに見極めて、資産運用を取り組んでいきましょう。

そのための金融リテラシーの向上なのです。

 

 

 

 

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