経済学が長年信じていた「嘘」
経済学ってずっと、「人間は合理的に動く」という前提で成り立ってたんですよね。
情報を集めて、選択肢を比べて、自分にとって一番得になる方を選ぶ。そういう生き物だって思われてたわけです。
でも、全然そんなことなかったんですよ。
行動経済学という分野が出てきて、「人間って思ってるより感情と習慣で動いてるよね」ということが、いろんな研究でわかってきました。データ見ても、損得計算しても、最後の判断には感情が混ざり込んでくるというものです。それって意志が弱いとか、勉強不足とかじゃなくて、人間の脳の仕組みの話なんですよね。
合理的に動けないのは、あなたのせいじゃないんです。人間のデフォルトがそうなってる、という話なんです。
ここ数年は行動経済学に興味があって、何冊か本を読んでいます。過去記事で、いくつか事例を紹介していますが、今回は、行動経済学とはそもそもなんですか?という内容にしてみました。
「私は合理的だ」と思ってる人が、じつは一番あぶない
問題はここからです。
多くの人が「自分はちゃんと考えて動いてる」って思ってるんですよね。特に、ある程度勉強してきた人、経験がある人ほど、この傾向が強い気がします。
知識がある、情報を持ってる、過去にうまくいった経験もある。それが積み重なって「自分の判断は信頼できる」って自信になっていくと思うんですよ。
その自信は、悪いことじゃないんです。でもお金の判断のときに、その自信が盲点をつくることがあるんですよね。
「自分は大丈夫」と思ってると、自分の判断を疑わなくなります。疑わないから、感情が混ざり込んでることに気づかなくなります。で、後から振り返って「なんであのときあんな判断したんだろう」ってなるという。
賢い人ほどお金で損をするって、こういうことなんですよね。
感情は、知識より先に動くもの
ちょっと脳の話をします。
何かを判断するとき、感情と理性って同時に動いてるんですけど、感情の方が早いんですよ。状況を見た瞬間に「怖い」「欲しい」「もったいない」って感覚が先に来て、理性はその後からついてくる感じだそうで。
で、理性の役割って、感情にブレーキをかけることじゃないみたいです。多くの場合、感情が出した答えを「もっともらしく説明する」ことなんです。
つまり、感情が先に「こうしたい」って決めて、頭が後から「だからこうする」って理由をつける。この順番、思ってるよりずっと頻繁に起きてるんですよ。
怖くないですか、これ。考えて判断してると自分では思っていますが、感情で決めて理由は後付けになってる場面があるなんて、私も心当たりがありますよね。
日常のいろんな場面で起きてます
「なんとなくこっちがよさそう」と思った選択が、後から考えたら根拠なかった。
「損だってわかってる」のに、なぜか動けなかった、または動いてしまった。
「もう少し待てばよかった」と思ったけど、そのときは待てる気がしなかった。
こういうこと、一度くらいあるんじゃないかなと思います。まあ、あるあるですよね。
これは知識があるかどうかに関係なく起きるんですよ。むしろ知識があるからこそ、「自分なりの根拠」が用意しやすくなり、感情で動いてることに気づきにくくなる面もあるようです。
保険の見直しを先延ばしにしてる瞬間も、使い続けてるサービスを解約できない瞬間も、相場が動いたときに焦って何かしたくなる瞬間も、全部そうです。お金の話においても、知っているつもりで感情に動かされている判断の歪みは、日常のなかにひっそり潜んでるんですよね。
正解らしく見えるもの、ちょっと待ってほしい
世の中に「正解らしく見える情報」ってたくさんあるじゃないですか。データがある、自称含めて専門家が言ってる、みんなやってる。そういう理由で正解っぽく見えるやつは多く存在します。動画でも多いですよね。
でも、正解らしく見えることと、本当に正解なこととは、別の話なんです。
もっと言うと、正解とは言い切れないことを正解みたいに語る人も少なくないです。断言する口調、わかりやすいストーリー、今すぐ動かないと損しそうな空気感。そういうのに煽られるように感じると、感情が先に動く。「これが正解だ」と感じてから、頭が理由をつける。さっきの話と一緒なんですね。
「これ、本当に正解なのかな」と立ち止まれるかどうかって、知識を増やすのと同じくらい大事だと思ってます。
まとめ:正解より、問いを持つこと
行動経済学が教えてくれるのは、「こうすれば損しない」という正解ではないんです。
人ってこういう場面でこう感じやすくて、こういう判断をしやすい。その癖を知っておくこと。自分が今、感情で動こうとしてないかを問い直すこと。
ただ、行動経済学に縛られると、また知識がついてくると、今度は身動きが取れなくなるんですよね。「これってバイアスかな」「感情で動いてるかな」って考えすぎると、何も決められなくなる。
そうじゃなくて、知ってる、意識してる、それだけで行動は変わります。
正解に価値はない、問いに価値がある。
「この判断、感情からきてないかな」って一瞬立ち止まれる人は、長い目で見たときに絶対強い。そう思ってます。
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Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております