「iDeCoの掛け金上限が上がるらしい」
そんなニュースを見て、すぐに増額手続きを調べ始めた方もいるかもしれません。
節税になるのは本当です。老後資金を効率よく積み立てられるのも本当です。でも、「増やすこと」だけに目が向いてしまうと、受け取り方で思わぬ税負担が生じる可能性があります。
今回は、2027年からのiDeCo改正の内容を整理しながら、「入口」だけでなく「出口」まで意識した使い方をお伝えします。
教育費が終わったら、老後資金へのスパートをかける時期
40代・50代の方から、こんな声をよく聞きます。
「子どもの学費がやっと終わりそうで、少し余裕が出てきた」 「これからは自分たちの老後にお金を回せると思っている」
まさにその感覚は正しいです。教育費という大きな支出が終わると、毎月のキャッシュフローが大きく変わります。この時期から自身の老後資金の積み立てにスパートをかけることは、資産形成の王道です。
そして、そのタイミングに合わせるように、iDeCoの制度が大きく変わると、NISAだけでなく、iDeCoのフル活用も視野に入ります。
2027年1月、iDeCoの掛け金上限が大幅に引き上げられる
2027年1月から、iDeCoの掛け金上限が以下のように変わる予定です。
企業年金のない会社員 月2.3万円 → 月6.2万円(約3倍)
企業年金のある会社員・公務員 iDeCo単体の上限(月2万円)が撤廃。企業型DCなどとの合計で月6.2万円まで。
自営業者・フリーランス 月6.8万円 → 月7.5万円
専業主婦(主夫) 月2.3万円のまま変更なし
特にインパクトが大きいのは、企業年金のない会社員です。これまで月2.3万円だった上限が一気に6.2万円まで広がります。年間にすると最大約46万円の追加拠出が可能になり、所得控除による節税効果も大きく拡大します。
企業型DCがある方は、2026年4月の変化も見ておきましょう
企業型DCに加入している方には、2027年を待たずに動きがあります。
2026年4月から、マッチング拠出の上限規制が緩和されています。これまでは「会社が出す掛け金と同額まで」しか自分で追加できませんでしたが、この縛りがなくなります。会社の掛け金が少なくても、合計6.2万円の枠をより多く使えるようになるということです。
企業型DCに加入している方は、2027年の改正と合わせて、自分がどの枠をどれだけ使えるかを確認しておく価値があります。
注意点としては、確定拠出年金規約の変更や、 必要であれば社内制度の変更など、整えることがあるので、実施時期は会社ごとに異なることです。勤務先に確認してください。
来年までに家計を整えておく
2027年1月から新しい上限が適用されるとして、今から何をしておけばよいか。
一番大切なのは、あなたの家計から毎月いくら拠出できるかを把握しておくことです。
上限が増えたからといって、家計を無視して満額拠出するのは危険です。iDeCoは原則60歳まで引き出せません。生活費・緊急予備資金・住宅ローンの返済などを差し引いて、無理なく出せる金額を今のうちに計算しておきましょう。
具体的には以下を確認してみてください。
- 毎月の手取り収入と支出のバランス
- 現在のiDeCo・NISAの拠出額
- 教育費終了後に生まれるキャッシュフローの余剰分
「来年から増額できる」という状態を今から作っておく。そのための家計の整理を、2026年中にやっておくことをおすすめします。
「出口」を知らないと、損をするかもしれない
今回の改正には、受け取り時の税制にも変更が加えられています。退職所得控除の受け取りルールやNISAとのバランスについては、以前の記事「iDeCoが改正かと思ったら、出口は改悪になる様相」で詳しく解説しています。今回はポイントだけお伝えします。
特に注意が必要なのはこんな方です。
- 会社から退職金が出る予定がある
- iDeCoを一時金で受け取ろうと考えている
- 60歳前後での受け取りを想定している
こうした方は、増額の前に「どう受け取るか」を先に設計しておく必要があります。受け取り方のパターン(一時金・年金・併用)によって税負担は大きく変わります。何となく積み立てて、受け取り方は後で考える、では取り返しのつかない損になることがあります。
退職金とiDeCoの資産、同時に受け取る、タイミングをずらすなども検討する必要があります。ここは、税金を気にして損得で考えることもポイントの一つですが、実際の生活に即した考え方が重要だと思っています。そうなると、課税されるのを受け入れる場面もあると思っています。
まとめ:増やす前に、設計を
iDeCoの掛け金上限引き上げは、老後資金形成にとって間違いなく追い風です。特に教育費が一段落した40〜50代には、スパートをかける絶好のタイミングになります。
ただし、押さえておきたいポイントは3つです。
- 自分の属性(会社員・企業年金の有無など)で上限額が変わる
- 2026年中に家計を整えて、増額できる準備をしておく
- 受け取り方(出口)まで含めて設計する
「入口を開く」改正に合わせて、「出口の設計」もセットで考える。それがiDeCoを本当に活かす使い方です。
ご自身の状況に当てはめてどう使うべきか気になる方は、ぜひ一度FPに相談してみてください。個別の状況に応じた整理をお手伝いします。
【関連記事】 (OGPカード:「iDeCoが改正かと思ったら、出口は改悪になる様相」)
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Wrote this article この記事を書いた人
福田 智司
▶独立系ファイナンシャルプランナーとして、相談業務、セミナー講師などで活動しています。 ▶FBCラジオ ラジタス 第一木曜日 10:50~ 「FPふくちゃんのお金に関するエトセトラ」レギュラー出演中 福井で唯一?のラジオFPです ▶FPでIFAというポジションを活かした相談が得意 節約だけが家計見直しじゃない!を念頭に置いた相談を心掛けています。 ▶法人向けに企業型確定拠出年金の導入サポートを推進しております